モラハラ夫との離婚を考える3児の妻「私はつらいけど子どもはどうなのか?」 子のために我慢すべき? 成人時に打ち明けられ“仲が良いと思っていたのに…”ショック受けるケースも
そんな中でも離婚をためらうのは、子どもの存在だ。「夫は子どもに対しては優しいし、子どもも“お父さんのこと好き”と思っていることはわかる。自分はつらいけど、子どもはどうなのかな?って」「子どもからは“ちょっと寂しいけど、お母さんが希望するなら仕方がない”みたいな。ただ、“離婚はまだ待ってほしい”と言われた」。
■「離婚が視野に入っている時点で、子どもへの傷つきは避けられない」
家庭環境に悩む子どもの相談に乗っているNPO法人ウィーズ理事長の光本歩氏は、「子どもは察知能力がすごく高い。離婚の選択が視野に入っている時点で、子どもへの傷つきは避けられない」としている。また、子どもにとって親の離婚は「自分の存在を揺るがすもの」になると指摘。「自分はいないほうが良かった」「生まれてきた意味がない」などの存在意義につなげてしまう子が多く、未来も希望も見えなくなったり、「親の離婚は自分のせい」と責めてしまうこともあると懸念を示す。 法務省が令和3年に行った、未成年時に親の離婚・別居を経験した子への調査によると、親の別居開始前に不仲を「知っていた」が42.3%、「薄々感じていた」が38.5%。そうした中での感情について、「仲直りしてほしい」が30.4%、「家族がバラバラになってしまう」が24.3%、「早く離婚・別居してほしい」が21.0%だった。
光本氏は「私たちが関わった子で、成人してから親が離婚したケースがある。その子は『お父さんとお母さんは本当に仲が良いと思っていた』と。だから、『あなたが成人したから私たちは離婚する、と言われた時にすごくショックを受けた』と話していた。ケースバイケースなので一概には言いづらいが、親が我慢することが善でもないし、“子どものため”が“子どものせい”と捉えられてしまうこともある」と述べる。 近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「離婚が多いアメリカだと、お母さんと再婚相手、子どもが住んでいる所のパーティーに、元夫が呼ばれることが普通にある。あるいは、子どもに会える権利がきちんと認められている。日本の結婚制度は、主に経済関係のためのもの。夫が働き妻は家庭に入るという1つの経済ユニットとして昭和の時代は機能していたが、今は女性も働いている。社会の在り方や常識を変えていくべきで、“離婚しづらいほうが健全だ”なんていうのは古い発言だ」との見方を示す。
一方、光本氏は「家族が今より幸せになるためには離婚を選択しないといけない、という場面は確かにある。そういう意味で、離婚=絶対悪ではない。ただ、“離婚してもいいじゃん”という社会の認識が広まっていくのは、大人の怠慢だ。そこには傷つく子どもの存在がある」と指摘。「親に対して、例えばシングルマザーには手当が出たり、離婚時に弁護士を利用できる制度などがあるが、子どもに対しては“何が必要なんだろう?”で止まってしまっている。金銭的なことなのか、精神的なことなのか、大人がやるべきケアはもっとある」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)