欧勝海、快進撃 十両、唯一無敗勝ち越し 大の里、くせ者圧倒6勝目
●同郷の先輩に「追いつきたい」 大相撲九州場所(福岡国際センター)8日目の17日、西十両14枚目の欧勝海が東十両12枚目の大青山を寄り切ってストレートでの勝ち越しを決めた。先場所千秋楽には、同郷・津幡町の先輩である新大関大の里の優勝パレードで旗手を務め「先輩に早く追いつきたいと強く思うようになった」。全関取の中で唯一、折り返しの中日で給金を直し、大の里も果たせなかった十両優勝へ突き進む。 取組を終えた花道で付け人とグータッチすると、欧勝海に笑みがこぼれた。 立ち合いから長身の相手に両手を差され、押し込まれるも、すぐに左を巻き替えて得意の左四つに。右上手を引きつけ、これまで勝ったことがなかった大青山を力強く寄り切った。 先場所は十両で一番下の番付で6勝9敗となり、通例であれば幕下陥落が避けられないが、番付運に恵まれ「奇跡的」(欧勝海)に番付が変わらず、今場所こそは勝ち越す決意を示していた。新十両だった初場所以来の勝ち越しで「うれしい。全部攻めて勝てている」と充実感を漂わせる。 2度目の優勝、大関昇進を果たした大の里の姿を目にして「より積極的に稽古するようになった」。それが今場所の活躍につながっている。3日目には右ふくらはぎを痛め、7日目からは古傷の左上腕も痛みが出てきた。痛み止めの薬を飲み、毎日治療に通いながら土俵に上がり「残りも勝っていく」と気合を入れる。 大の里はくせ者の翔猿を圧倒し、6勝目を挙げた。立ち合いで翔猿の右張り手を浴びても、ひるまずに前進。土俵下から花道へと吹っ飛ばし、一方的に押し出した。支度部屋では「集中してやった」と涼しい表情だった。 土俵下の九重審判長(元大関千代大海)は「大の里は全力を出し切れなくても勝っている印象。まだ余力がある」と指摘。優勝争いについては「大の里、琴桜、豊昇龍。順番をつけるとすればこの順かな」と予想した。