【独占インタビュー】齋藤元彦・前兵庫県知事に潜入ジャーナリストが斬り込んだ!前知事に問う「亀裂と分断の選挙戦」と「ネット陰謀論」への自覚と覚悟
「1人でも多くの県民に訴えたい」
――百条委員会などで齋藤さんを追及した複数の県議からは、齋藤さんの支持者が先鋭化していることを危惧する声が上がっている。ある県議の事務所には「死ね!」と言った電話が何度もかかってきている。別の県議 は、ネット上で粘着質な付きまといをされ個人情報もさらされてる、と語っている。 「それについては、ちょっと……。私の駅立ちやSNSのアカウントでは、温かくご支援をいただいている」 ――今回の選挙戦では、東京都知事選で善戦した石丸伸二氏のようなSNSを駆使した戦いを目指すのか? 「もちろん、Xやインスタグラム、ユーチューブも使っていく。確かに、石丸さんの選挙戦はすごいと思うが、私はSNSよりも、駅立ちや辻立ちなどの街頭演説の中で、1人でも多くの県民に直接訴えていきたい」 ――「週刊文春」の記事 には、齋藤さんが石丸伸二氏の選挙参謀を務めた藤川晋之助氏に助けを求めたという記述もあった。そこにはネット戦略を含めた選挙戦を展開しようという気持ちがあったのではないか。 「藤川さんに電話したのは事実だ。藤川さんに助言を求めてはどうかという知人がいたので、私から電話した。『機会があればぜひご指導をいただきたい』と伝えたが、具体的に契約をしたり、コンサルティング業務の委託をしたということはない。石丸さんのような選挙というより、私は自分1人からのスタートなので、愚直に、丁寧に3年間の実績を訴えていく」
立花孝志の「N国」との関係は?
――ネット には、クラウドソーシング企業のクラウドワークスが、齋藤さんなどの動画の作成を1本当たり1500円で募集しているという広告が残っている。 「私がそういう募集にかかわったことは一切ない。クラウドなんとか、という企業名さえも知らない。もちろん、私がお金を支払ったということもない。正直言って、何のことなのか、見当もつかない」 ――告示日直前に、「NHKから国民を守る党」の党首である立花孝志氏が、兵庫県知事に立候補すると表明した。立花氏は「当選 は考えていない。齋藤氏にプラスになるような選挙運動をしていきたい」と語っている。 「県知事選挙にはいろんな人が出馬するが、私は自分ができる選挙活動をするだけだ」 ――都知事選挙では、選挙ポスター枠を販売するなどして悪目立ちしたが、そういった人の支援は、本当にプラスになるのか。 「いろんな人がいろんな考えを持って選挙戦に挑んでいる。人は人。自分は自分だ」 ――ネットの支持者には、マスコミを敵視する“マスゴミ論者”が少なくないようにみえるが、齋藤さん自身がマスコミと敵対することはほとんどなかったと理解している。2時間、3時間を超える記者会見に付き合っていた姿は印象的だ。その点は、アメリカの前大統領のトランプ氏や、橋下徹氏といった政治家と大きく違う。 「トランプさんや橋下さんのように、歯に衣着せずバシバシ言う人もいるが、私は仮想敵を作って分断を生んだり、誰かを強く非難すること自体が自分の性に合っていない。自分はそんなタイプではなく、目の前のことにしっかり取り組んでいく。その延長線上に、長時間にわたる記者会見があったと思っている」
勝算はあるのか?
――そうした政治姿勢は、大阪府で一緒に働いた松井一郎氏の影響も大きいと指摘する声もある。 「確かに松井さんが丁寧に記者会見に答えているのは参考にしている。それに加え、コロナ禍では、県民に県政の方針をしっかりと伝えなければならない、という思いが、知事時代の原点にあった」 ――今回の選挙の勝算は? 「しっかり頑張って選挙戦での勝利につなげていきたい」 兵庫県知事選の投開票は11月17日に行われる。異例ずくめの選挙は、果たしてどのような結末を迎えるのか。 「週刊現代」2024年11月9日号より
横田 増生、週刊現代
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