佐藤隆太主演、長塚圭史演出。人間の本質に迫る舞台『「GOOD」-善き人-』が4月上演
舞台『「GOOD」-善き人-』が4月6日から世田谷パブリックシアター、4月27日から兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。 『GOOD』はドミニク・クックがC・P・テイラーの戯曲をリバイバル上演した作品。『ローレンス・オリヴィエ賞』ベストリバイバル賞など4部門にノミネートされた。 舞台はヒトラー独裁が進む1930年代のドイツ。善良で知的なジョン・ハルダー教授が過去に書いた論文を読んだヒトラーに気に入られ、自身の意図とは関係なくナチスに取り込まれてしまい人生が一変する様子が描かれる。演出はKAAT 神奈川芸術劇場の芸術監督・長塚圭史。 ジョン・ハルダー教授役には佐藤隆太がキャスティング。萩原聖人、野波麻帆、藤野涼子、北川拓実、那須佐代子らが共演する。キャストのコメントが到着した。 チケットの一般販売は東京公演が2月23日、兵庫公演が3月31日からスタート。 【長塚圭史のコメント】 善悪の見極めは難しい。時代や歴史によって更新されていくからです。それでも見誤ってはならないものがあります。 けれどわかっていても、見誤ってしまうことがあります。抗い難き人間の弱さによるものかもしれませんし、それこそが身を守る手段なのかもしれません。ヒトラー政権下のドイツで、善良で理知的な中年男ハルダーと彼を取り囲む人々の行方を前に、私たちは「もしも自分ならどうしていただろう」と問い続けずにはいられません。独裁政権下の善良な市民たちの心理を生々しく描く追想劇を、素晴らしいキャスト・ミュージシャン、スタッフの皆様とお送りします。劇場でお待ちしております。 【佐藤隆太のコメント】 芝居を初めてから25年という月日が経とうとしています。 昨年は一人芝居で全国各地を回り、沢山のお客様との出会いがありました。 人との距離をとらざるを得なかったこの数年を経験した事もあり、みなさんと直接繋がることができる舞台に対して、今まで以上に豊かさを感じ、そこに立ち続けたいという欲が強くなっています。そんな中、本作のお話をいただきました。 独裁政権下において、一人一人がそれぞれの状況で何を守ろうとして生きるのか。正義とは?そしてその先には何が あるのか。自分にも問いながら台本を読みました。 ひとつひとつの台詞を落とし込むことも一筋縄ではいかない難解な戯曲です。ですが、覚悟を持って飛び込みたいと思います。 長塚さんの指揮のもと、素晴らしい共演者の皆さんと共に悩み、もがき、それ自体を楽しみながら作り上げていきたいです。 重たいテーマを扱っている作品ですが、生バンドあり、歌ありと様々な要素が融合して織りなす舞台です。 劇場で皆さんとお会いできることを楽しみにしています。 【萩原聖人のコメント】 人が人である限り繰り返される事。 本当にそれは昔も今も何も変わらないように思います。 変えたくても変えられない。 変わりたくても変われない。 この作品を通してカンパニーの皆様とそれぞれのGOODを探していけたらと思っています。 【野波麻帆のコメント】 いつか圭史さん演出の舞台に立ちたいと思い続けて20年。お声をかけて頂き飛び上がる気持ちの中送られてきた台本は、ナチス政権下のドイツが背景。人間の善悪を問うなんとも難解な戯曲作品でした。ああ大変だ。怖い。今の正直な気持ちです。でも私が舞台に立つ1つの理由は、作品と対話を重ねながら皆で掘り下げ深めていける時間が余りにも幸せであることです。隠していた無意識の悪意すらも丸裸にされる覚悟をもって全身全霊で挑みたいと思います。お稽古がとても楽しみです。 【藤野涼子のコメント】 ナショナル・シアター・ライブ2023「善き人」の上映を観に行こうと予定していたところに、この作品に出演しないかとお話を頂き、その偶然に驚きました。タイミングや選択には何かしら理由や意味があると! もし私自身がこの作品の世界の真ん中に放り込まれたら・・・果たして「善き人」でいられるのか?私が演じる「アン」の選択はこの世界にどう映るのか? 先輩たちの胸をお借りして、思い切り楽しんで、この作品に参加したいと思います。 【北川拓実のコメント】 今回、事務官/伝令/ボック役を演じさせていただく北川拓実です。 「GOOD」への出演が決まり豪華なキャストの皆さんと、この戯曲を一緒に作り上げること、新たな役柄でこの作品の中で生きられることに喜びを感じています。 僕個人としては20歳になって初のお芝居となります。 今までの舞台や演劇の経験を糧に、この作品を通して更に成長できるよう稽古から全力で向き合っていきたいと思っています。 【那須佐代子のコメント】 誰もが自分もこうなってしまう可能性を感じる。それがこの「GOOD」の恐ろしさだと思います。皆幸せに生きていきたいし、安心安全でいたい。そういう当たり前に思える保身から、悪気もないままに辿り着いてしまった惨禍。それは現在に至るまで連綿と続いている闘争であり、決して過去の話、他人事とは思えません。この作品は展開もスピーディーで目まぐるしくシーンが変わるのでチームワークが大切になってくると思います。長塚さんの演出、共演の皆様も初めましての方ばかりで緊張しますが、早く皆さんと仲良くなり、座組み一丸となってこの骨太な作品にガッツリ取り組んでいきたいと思っています。
CINRA編集部