エメラルドグリーンの絶景が山上で待つ!! ロープウェイ利用の蔵王連峰天空トレッキング【後編】
前編では、蔵王温泉で前泊。山麓から蔵王中央ロープウェイで山上へと向かい、鳥甲山、ドッコ沼と巡ってきました。後編ではいよいよ、中央高原エリアから蔵王連峰のメインエリアへと向かいます。 【写真】エメグリの御釜を目指す! 蔵王連峰トレッキングを見る(全9枚)
素朴な顔の石仏に思わずほっこり
ドッコ沼から南東側に、三郎岳、五郎岳という小ピークがあります。太郎、次郎、四郎はいませんでした。 この一帯は「蔵王中央高原散策路」として整備されており、心地よい森の中に続くなだらかな遊歩道をお散歩気分でたどります。片貝池のそばを通り抜け、いよいよ蔵王のメインエリアへ。 地蔵山頂までは、スキー場のゲレンデになっていて、その中を縫うように、かなり急な登山道がつけられています。途中、登山道脇に石仏を発見。素朴な表情にほっこりした気分になりました。 蔵王ロープウェイ山頂駅の前を通って、主峰の熊野岳へは、地蔵山の山頂を経由するルートと、北東側をトラバースするルートがあります。 午後から天候が下り坂かもという予報だったので、とりあえず主峰熊野岳を目指します。なだらかで広々とした熊野岳の山頂には熊野神社が祀られ、眼下には雄大な絶景が広がっていました。
いよいよエメラルドグリーンの〝御釜〟へ
熊野岳を越えると、いよいよ今回のハイライト。〝御釜〟が見下ろせる馬の背エリア。「今回、私はこれが見たくてはるばる来た」といってもいいくらい、期待度の高かったところです。 御釜は、熊野岳・刈田岳・五色岳という3つのピークの間に位置する火口湖で、東西・南北ほぼ300m超えの大きな湖。周りは荒々しい火口壁ですが、湖面は静かに凪いでいて、エメラルドグリーンが美しい神秘的な湖なのです。 光の当たり方で刻々と色が変わるため、「五色湖」という別名もあるそうです。その姿には思わずうっとり。いつまでも眺めていたくなる絶景でした。
秋の可憐な花々も愛でつつ下山
名残惜しさを感じつつ、帰路につきます。刈田岳側から仙台市内方面行きのバス便はあるのですが、今回は往路を戻って、蔵王温泉へ下山することに。帰路は、熊野岳山頂を通らずに、熊野岳避難小屋経由のルートを取りました。 このエリアは活火山であり、気象庁によると「噴火警戒レベル1 活火山であることに留意」という注意喚起がなされています。 馬の背付近では、避難ルートが看板で示され、最寄りのシェルターまでの距離も明記されています。2014年の御嶽山噴火で63名が犠牲になった惨事が活かされているのだろうなと感じました。 石造りの丈夫そうなシェルターの中を覗いてみたら、万一のときに噴火口側から逃げ込める小さな入り口と、中にはヘルメットなどが置かれていました。 下山は蔵王ロープウェイ山頂線で。観光客の姿も多い地蔵山頂駅のすぐ前には、大きなお地蔵さんが鎮座しています。この背後から三宝荒神山への遊歩道がつけられているので、下山までに時間があれば歩いてみるといいと思います。30分あれば周回できて、いろいろな植物の観察もできます。 秋を代表する花でもあるオヤマリンドウがたくさん咲いていました。ほかにも、アキノキリンソウや、ウスユキソウの仲間など、いろんな花が咲いていて、たくさんのチョウが舞い飛んでいるのも美しい光景でした。 さて、下山もラクラクロープウェイ。時間待ちの間に、山上駅のカフェレストランで山形名物の「玉こんにゃく」をいただきます。歯ごたえもよく、出汁が効いて美味しかったです。 蔵王ロープウェイは、1661mの山頂駅と1331mの樹氷高原駅で乗り換えが必要なのですが、その乗り換えのタイミングで立ち寄れるのが「蔵王テラス」。 樹氷高原駅から5分ほど歩いたところにあって、ベンチやソファなどが眺めのいいゲレンデ上部に設置されています。時間が許すなら、ココでゆっくりと過ごしたいなぁと思いました。 今回は、蔵王温泉を起終点の往復コースでしたが、機会があれば宮城県側の遠刈田温泉まで、縦走スタイルで再訪してみたいな、と思いました。面白山を起点とする南北縦走もできるので、まだまだ楽しみ方はたくさん。スノーシーズンにもぜひ登ってみたいと思っています。
根岸真理