米新政権、対中強硬予想 首相とトランプ氏 相性不安視 大統領選後の国際情勢でシンポ
米大統領選挙後の国際情勢をテーマにした安全保障シンポジウムが17日、那覇市のともかぜ振興会館で開かれ、元米海兵隊太平洋基地政務外交部次長のロバート・エルドリッヂ氏、元衆院議員の長尾敬氏が講師を務めた。エルドリッヂ氏は、米国のトランプ次期大統領が台湾の国家承認を含む対中強硬策に出ると予想。長尾氏は、石破茂首相とトランプ氏の相性を不安視し、高市早苗前経済安全保障担当相が首相に適任との見方を示した。 第2次トランプ政権についてエルドリッヂ氏は「4年しかないので、猛スピードで改革を進める。今回の人事で明らか」と指摘。 予想される外交政策として①ロシアとの関係修復とウクライナ戦争の停戦②ガザ紛争の終息と中東の平和③台湾の国家承認と米中経済のデカップリング(分離)④北朝鮮との平和条約締結―を挙げた。 ロシア、北朝鮮との関係改善は、中国を孤立させる意図があると説明。日米同盟に関しては「安倍晋三元首相がトランプ氏に日米同盟の重要性を浸透させた。安倍氏のレガシー(遺産)で、トランプ氏は日米関係を大切にする」と期待した。 中国が台湾に侵攻する「台湾有事」については「早く起きる」と推測。米軍の隙を突くため、最短で今年のクリスマス休みからトランプ新政権発足までの今年12月~来年1月に勃発する可能性があるとした。「『中国は台湾、尖閣に侵攻しない』という考えは願望に過ぎない。私の分析が間違っていることを祈る」と述べた。 長尾氏は、石破首相とトランプ氏の初の電話会談が5分だけだったことに「通訳や社交辞令を入れると、もしかすると30秒くらいしか話していない。もはや拒絶されている状態ではないか。いきなりトランプ氏から先制パンチを食らっているが、パンチを受けた自覚もなさそうだ」と危ぐ。 安倍氏がトランプ氏と蜜月関係を築いたことに関し「石破首相は安倍氏に対する競争心が強い。『私には私のやり方がある』という考えが前面に出るのが心配。3輪車しか乗ったことがない外交初心者が、いきなりF1のコックピットに座らされるようなもの」と述べた。 石破首相が退陣した場合の後継首相について「このまま何もなければ林さん(林芳正官房長官)」とした上で「『高市さんを』という声を上げていた安倍派は衆院選で3分の1に減ったが(日本の将来のため)高市政権樹立しかないというのが結論だ」と強調した。 石破首相が意欲を示す日米地位協定の改定についてエルドリッヂ氏は「交渉で日米関係を悪化させるのではなく、良くしなくてはならない」と強調。環境問題や人権問題などで、日米の基準が異なる場合、高いほうの基準に合わせるべきとした。 協定を管理する日米合同委員会への自治体の参加にも前向きな姿勢を示した。 シンポジウムは日本沖縄政策研究フォーラム(仲村覚理事長)などと同実行委員会が主催した。