Bloomberg

（ブルームバーグ）： 国際通貨基金（ＩＭＦ）は日本のインフレの持続可能性に確信を深めており、日本銀行が今後数年間に緩やかな利上げの軌道にとどまると予想している。ＩＭＦの日本ミッションチーフを務めるナダ・シュエイリ氏が22日明らかにした。

ＩＭＦ・世界銀行の年次総会が開かれるワシントンでインタビューに応じたシュエイリ氏は、「個人消費の指標が上向き始めているのが見られ、従業員の基本給が増加し始めるのを目にしており、これは経済における賃金と物価の好循環の機能を示唆するものだ」と指摘。「これがわれわれが自信を強めている理由だ」と説明した。

ＩＭＦは22日、最新の世界経済見通し（ＷＥＯ）で、日銀による７月の追加利上げを反映させるため、予想を修正した。景気を刺激も抑制もしない名目の中立金利の推計を約1.5％とし、これは民間エコノミスト推計の１％を上回る。

ＩＭＦは2026年末ごろに金利がこの水準に達すると予想するとともに、日銀に対し慎重なアプローチを維持するよう呼び掛けた。

シュエイリ氏は「リスクを踏まえ、漸進的かつ慎重に進める必要がある」とした上で、「上振れと下振れの両方のリスクがあり、高度の不確実性がある。内部の国内経済情勢からだけでなく、世界経済からもだ」と話した。

日本銀行は30、31両日に開く金融政策決定会合で無担保コール翌日物レートの誘導目標を0.25％に据え置くと広く予想されている。それに先立つ27日には日本の衆院選投開票があり、その後、11月５日には米大統領選の投開票が行われ、６、７両日には米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）会合が開催される。

石破茂首相は衆院選後に策定する経済対策で、昨年度を上回る規模の補正予算を編成する考えを表明している。シュエイリ氏は「補正予算の機能はショックに対処する手段として保つのが重要だ」とし、当然の事として編成すべきではないとの見解を示した。

「支出は成長を高める分野に重点を置く必要があり、債務の中期的な持続可能性が達成されるよう、全体的な予算の枠組みから財源を確保しなければならない」と語った。