終盤突入し戦略変化 対話重視 熱意伝える 票掘り起こしへ新政策も【静岡県知事選】
知事選が26日の投開票に向けて終盤に突入する中、各候補者は街頭演説中心から有権者とふれ合える活動を増やしたり、新たな政策を打ち出したりするなど、徐々に戦略や主張を変化させて票の掘り起こしを図っている。同じテーマを集中的に扱い、浸透を目指す候補者もいて、戦略にも違いが見える。 共産党県委員長の森大介氏(55)=同党公認=は「県民の最大の関心事」と位置づけるリニア中央新幹線建設、中部電力浜岡原発の再稼働について一貫して反対を主張し、他の候補とは異なる立場を鮮明にする。「リニア事業にどんな問題があるのかを考えてほしい」と繰り返し訴え、リニア問題の争点化を図ってきた。多くの人が日常的に利用するスーパーや大型商業施設、駅前を街頭演説の場所に設定し、「多くの県民に訴えを聞いてもらう」ことに重点を置く。 元浜松市長の鈴木康友氏(66)=立憲民主党、国民民主党推薦=は県東部の医療政策として当初は医学部誘致を訴えていたが、実現性や即効性の観点から、医学生向け奨学金制度の拡充や病院間の連携強化を主張するように。18日の富士市での遊説では「長期、短期の視点を組み合わせて東部の皆さんの命と安全を守る」と強調した。積極的に住民との対話の機会を設けたり、顔が売れた西部では街頭演説の回数を増やすことを重視して1回当たりの時間を短縮したりと、終盤の戦いに工夫を凝らす。 元副知事の大村慎一氏(60)=自民党推薦=は防災、産業政策などを核に、4年間で新規事業に1千億円の予算を充てるとした構想を告示後に打ち出した。序盤は東部、伊豆、中部、西部でそれぞれの魅力と資源を生かした政策についてフリップを使って説明。中盤以降は前県政批判を控え、「名誉やプライドのためでなく、県民のために仕事をする知事になりたい」と熱意のアピールにも時間を割いている。連日10カ所以上で街頭演説をこなし、露出を多くして知名度を向上させたい考えだ。 知事選には政治団体「個人の尊厳党」代表横山正文氏(56)、アパート経営村上猛氏(73)、コンサルティング会社社長浜中都己氏(62)も立候補している。
静岡新聞社