「我々は搾取されている」トランプ氏、パナマ運河の返還要求を示唆 通航料に不満
トランプ次期米大統領 「我々はほかの場所でもそうだが、パナマ運河で搾取されている」 トランプ次期米大統領は22日、パナマ運河の通航料が高すぎると非難し、米国が同運河の管理権を再び主張する可能性を示唆した。 「この寛大な寄付行為の道徳的、法的原則が守られない場合、我々はパナマ運河が完全かつ速やかに、疑問の余地なく合衆国に返還されることを要求するだろう」――トランプ氏は、保守系団体の集会でこう発言した。また21日夜にも自身のSNSで同様の警告を行っていた。 パナマのムリノ大統領はXでビデオ声明を発表し、パナマ運河に対する同国の主権を再確認。パナマの主権と独立は交渉の余地がないと述べた。 米国は長年にわたりパナマ運河を建設・管理し、その周辺地域を統治していたが、1977年に締結された協定によってパナマに完全返還することで合意。1999年、米国は管理権を移譲した。 世界の海上貿易の2.5%を占めるパナマ運河は、自動車をはじめとするアジアからの輸入や、液化天然ガスを含む米国の製品の輸出にとって重要な役割を果たしている。 トランプ氏はまた、パナマ運河が「悪人の手に渡ることを許さない」とも警告した。「運河はパナマだけが管理すべきものであり、中国や他の国が管理すべきものではない」 中国は運河を管理・運営していないが、香港に拠点を置くCKハチソン・ホールディングスの子会社が長年にわたり、運河の2カ所ある入り口に位置する港を管理してきた。 トランプ氏がどのようにして運河の管理権を取り戻そうとするのかは不明だ。 この発言は、同盟国を威嚇したり強硬な発言をいとわないトランプ外交の復活を示唆するものだ。また主権国家に対し領土の返還を要求するのは、米国の指導者としては極めて異例だ。