病気で足が不自由になった50歳愛妻家の会社員、受け取れたはずの「500万円」を貰い損ねた事実に愕然…「年金の時効」という落とし穴【FPが解説】
障害年金は現役世代も対象だが、自分が申請しないともらえない
障害年金は、ケガや病気によって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代も受け取れる公的年金の一つです。障害年金の対象は、手足の障害などの外部障害だけでなく、がんや糖尿病・心疾患・呼吸器疾患などの内部障害、統合失調症やうつ病などの精神障害も対象となります。 障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。また、障害年金受給のポイントとなるのが「初診日」です。 初診日とは、障害の原因となったケガや病気について、初めて医師等の診療を受けた日をいいます。初診日に国民年金に加入していた方や生まれつきの障害がある方、20歳前だった方は「障害基礎年金」の対象となります。 一方、初診日に会社員や公務員などで厚生年金に加入していた方は「障害厚生年金」の対象となります。障害厚生年金のほうが障害基礎年金よりも保障が手厚くなっています。 障害年金の受給には、年金納付要件を満たしていること、初診日から1年6ヵ月を過ぎた日に定められた障害の程度(等級)に該当することが必要です。受給要件の詳細を理解し、要件を満たしているかどうかを自分自身で判断することは難しいでしょう。 とはいえ、障害年金という制度があることを知らなければ、請求手続きをすることもできません。まずは制度自体を知っていることが重要なのです。
手続きで障害年金の受給は決定したが、思わぬ落とし穴が
FPから話を聞いたAさんは、すぐに通っている病院や最寄りの年金事務所で詳細を確認し、障害年金の請求手続きを行いました。そして、審査の結果、障害厚生年金3級の受給が決まったのです。 障害年金は、障害の程度に応じて受給額が定められています。Aさんが認定された障害厚生年金3級は、日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある状態とされています。 そして、Aさんの受給額は、障害厚生年金3級の最低保障額である年額61万2,000円(月額5万1,000円)となりました。これは障害年金のことを知らずに請求手続きをしないままでは受け取れなかったお金です。また、この先も状態が変わらなければ、更新の手続きをすることで受け取り続けることができます。 一方で、Aさんが足の病気を患ったのは14年前です。本当であればこの14年間で800万円以上を受け取れていた計算です。ところが、受け取れたのは過去5年分の約300万円のみ。年金事務所の担当者はこう言ったのです。「5年を経過した分は時効があるので受給できません」と……。