先進国株式に月間500億円を超える過去最大の資金流入=DC専用ファンド(2024年2月)
DC市場において、現在の最強ファンドは、日本を除く先進国株式インデックスである「MSCIコクサイ」に連動するファンド群だ。すでに、「野村 外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)」の残高は6938億円、「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」は3144億円と野村アセットマネジメントの主力2ファンドだけで残高が1兆円を超える。ただ、DC以外の一般の公募投信で積立契約件数が多いのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、または、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になっている。「全世界株式(MSCI ACWI)」、または、「S&P500」に連動するインデックスファンドだ。「MSCIコクサイ」に連動するインデックスファンドは、昨今の日本株の大幅な上昇から、避けられる傾向が強まっている。
一般の公募投信市場とDC市場で人気銘柄が異なるのは、DC市場は、主に企業型DC制度において、選択できるファンドの本数が限られていること。そして、投資可能なファンドのラインナップは固定的で、新規の追加がそれほど行われないことがある。最近でこそ、一般の公募投信市場においてインデックスファンドの運用コスト(信託報酬率)の大幅な引き下げが行われた関係で、古い手数料率を採用しているファンドを入れ替える動き等が起きているが、既存ファンドの手数料引き下げという動きもあり、ラインナップの抜本的な見直しを行うような動きにはなっていない。良くも悪くも、DC市場は「長期投資」(投資対象のファンドラインナップは固定的であり、かつ、加入者も一度投資対象を指定すると投資対象の見直しを積極的には行っていない)になっている。
新NISAで投信積立などを始めた方々が、「そういえば会社で企業型DCもやっていたんだ」と改めて認識し、そのラインナップの状況に注目し、個々のファンドの信託報酬率の水準をも確認するようになると、眠ったようなDC市場に刺激を与えるきっかけになるかもしれない。企業型DCは動きの鈍い制度ではあるものの、加入者からの要請があれば。制度内容の見直しに前向きに取り組むことになるだろう。