「第5回大島渚賞」映画『遠いところ』工藤将亮監督が受賞
沖縄を舞台に、若くして母となった少女が直面する過酷な現実を描いた映画『遠いところ』(2023年)を監督した工藤将亮(くどう・まさあき)が、「第5回大島渚賞」を受賞したことが発表された。 【動画】映画『遠いところ』17歳の主人公を追い詰める衝撃的な大人たち 工藤監督は、「第22回富川国際ファンタスティック映画祭」NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した長編デビュー作『アイム・クレイジー』(2019年)、2作目『未曾有』(21年※公開は24年予定)と、テーマへの着実なアプローチで世界中の映画祭から注目される映画作家の一人。 対象作品となった『遠いところ』は、「第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭」コンペティション部門に日本映画として10年ぶりに正式出品を果たし、「第23回東京フィルメックス」では観客賞を受賞。「貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する。溝口健二的な現代悲劇」(Variety)と絶賛されたほか、先日発表された、「第37回高崎映画祭」で新進監督グランプリ&最優秀新人俳優賞(花瀬琴音)をダブル受賞するなど、国内外で高い評価を得ている。 『戦場のメリークリスマス』『愛のコリーダ』などの作品で知られる映画監督の大島渚監督の名を冠した同賞は、国際的活躍が期待される若手映画監督を顕彰するもの。原則、前年に発表作品があり、劇場公開作3本程度までの若手監督を対象に、各国の映画祭プログラマーやディレクター、映画人の推薦を受けて、審査員が受賞者を決定する。今回は、第1回からの審査員長・坂本龍一さんが亡くなったことを受け、これまで審査員だった黒沢清監督が審査員長を務め、荒木啓子PFFディレクターと2人で審査を行った。 3月18日に東京・丸ビルホールで授賞式を開催。前日の17日に同ホールで記念上映会を実施する。当日は『遠いところ』、大島監督作『少年』(1969年)の上映に加え、工藤監督と黒沢監督によるトークショーを行う。また、今回初の試みとして、「初めての大島渚体験」してもらうべく、18歳以下は無料で招待する(事前申込制、先着50人)。 ■過去の受賞者 第1回:小田香監督『セノーテ』 第2回:該当者なし 第3回:藤元明緒監督『海辺の彼女たち』 第4回:山崎樹一郎(※崎=たつさき)『やまぶき』