40代女性会社員です。最近「更年期障害」を少しずつ感じてきて、定年まで働けるか不安になってきました…
近年は女性のキャリア形成を政府が後押しするなど、かつてに比べて女性がキャリアを積極的に考え、自分らしい生活設計をしやすくなった面があるといえます。しかし、その一方で女性特有の体調変化が、仕事への取り組みに影響を与えることもあります。 今回は、女性の働き方と、更年期障害が働き方に与える影響について考えてみました。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの?
女性の仕事への向き合い方
アサヒグループ食品株式会社が30~50代の仕事を持つ女性を対象に行った「女性の働き方と女性特有のゆらぎ症状への実態調査」によると、働くことの目的は「自分の生活のため」と答えた人がどの年代においても9割近くに上り、多数を占める結果となりました。多くの人は、現在の生活および老後の資金のために働いていることが分かります。 年代別の傾向を見ると、50代では「人との繋がりを持つため」あるいは「働くことが楽しいから」と回答した人が、30代、40代よりも高い傾向となりました。 表1
※アサヒグループ食品株式会社「女性の働き方と女性特有のゆらぎ症状への実態調査」を基に筆者作成 何歳まで働きたいかという質問には、60歳までと回答した人が19.4%、65歳までと回答した人が27.8%、生涯働き続けたいと回答した人が12.4%でした。多くの女性が高い意欲を持って仕事に向き合い、また長く働き続けたいと考えているといえるでしょう。
更年期障害と女性の働き方
30~50代の働く女性にとって「更年期障害」は、仕事を続けていくうえで影響がある問題の一つです。女性が長く活躍できる社会にするためには、更年期障害に対して周囲の理解と協力が不可欠ですが、現状では環境が整っているとはいえない面があります。 ■更年期障害とは? 女性の更年期障害は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって発症するとされており、加齢やストレスなどの要因が影響することもあります。更年期障害を経験する年代は、閉経前後の10年間、一般的には45歳から55歳ぐらいの間ですが、人によっては30代後半から症状を感じる人もいるようです。 症状や程度にも個人差がありますが、多く見られる症状としては疲労感・倦怠感や顔のほてり、頭痛、イライラ感、肩こりなどです。 ■更年期障害を感じる人の割合は? アサヒグループ食品株式会社の同調査によると、更年期障害と思われる症状を自覚している人の割合は30代で38.9%、40代は63.3%、50代では68.9%で、年代が高くなるにつれて増加することが分かりました。 また、株式会社ビースタイル ホールディングスが行ったアンケートでは、更年期症状が原因で仕事で不利な状況が生じていることがあると回答した人の割合は56.1%に上っています。 多くの30~50代の女性が更年期障害による症状および仕事への影響を感じているにもかかわらず、職場での理解や対策は進んでいるとはいえない場面もあるようです。 ■更年期障害による経済的損失 経済産業省の試算によると、女性の更年期障害が原因の欠勤やパフォーマンスの低下、離職などによる経済的損失は年間約1.9兆円にのぼるとされています。この金額はほかの女性特有の健康課題(月経に伴う症状など)と比較しても、大きな金額です。 更年期障害が経済に与える影響は大きく、企業および社会全体が更年期障害について理解を深め、休みを取りやすくするなど柔軟な働き方ができるよう変えていく必要があると考えられます。 また、働く人自身にとっても仮に離職となればその分収入がなくなり、経済的に困る人もいるでしょう。更年期障害には健康保険が適用されるため、治療は原則3割負担で受けられます(加えて薬代が必要)。 治療はホルモン補充療法(HRT)や漢方薬が一般的ですが、症状に合わせて抗うつ薬や抗不安薬が処方されることもあるようです。治療にかかる費用の目安は、診療と薬代を合わせて2000円~5000円ほど(初回は検査などにもう少し費用がかかることも)とされています。 症状が重く業務に支障が出ている場合は、適切な治療を受けることで症状が落ち着き、仕事を続けられる可能性があるため、一度診察を受けてみることをおすすめします。