【車いすラグビー日本代表/2024クアードネーションズ】日本がアメリカを破り優勝!「日本のディフェンスの勝利」
決勝で世界ランキング1位のアメリカを再び倒した日本。 パラリンピックに向け、世界にその存在感を高らかに示した――。 4か国対抗でおこなわれた車いすラグビーの国際大会「2024 Wheelchair Rugby Quad Nations」(以下、クアードネーションズ。イギリス・ウェールズ)は4月18日、大会最終日を迎えた。 準決勝でフランスを下した日本は決勝でアメリカと対戦し、50-47で勝利を収めて優勝を果たした。 午前におこなわれた準決勝。 日本(予選3位)とフランス(予選2位)の一戦は、日本のリードで終盤まで進むも、試合時間のこり3分で49-44の場面から4連続得点を許し1点差にまで迫られる。 あわやという展開になるが、橋本勝也のタイヤがパンクし、タイヤ交換のため試合が一時ストップしたところからリセットした日本がきっちりとまとめた。51-49で決勝に進出した。
一方、予選ラウンドを4位(0勝3敗)で終えたアメリカは、3勝0敗の予選1位・イギリスとの準決勝に臨み、高い修正力を見せつけて勝利を収め、決勝へと駒を進めた。 日本とアメリカの決勝戦。 予選での対戦とは違うスターティング・ラインアップを起用した両者は、その戦いぶりも前日とは異なる様相を見せた。 日本の激しくしつこいディフェンスに対抗するためか、アメリカは速いボールムーブを意識したパスラグビーを展開する。日本のスローインをカットしターンオーバーを奪ったアメリカがリードする形で試合が進む。 走り合いの攻防が続き、ひとつのミスも許されない緊迫した空気がコートを支配する。連日の熱戦を物語るように、司令塔としてコート内で指示を送る池 透暢の声はカスカスに枯れている。 12-13で開始した第2ピリオド。アメリカのバックコート・バイオレーション(フロントコートに入ったボールがバックコートに戻る)により、日本がリードを奪い返した。 なおも続く強いプレッシャーに、パスが乱れ、ボールキープでミスが起き、ターンオーバーの連続。その後は1点を交互に取り合い、アメリカは残り5.2秒でゴールを狙うもトライが認められず、24-23の日本リードで前半を折り返した。 アメリカはパラリンピックで3つの金メダル(アトランタ、シドニー、北京)を獲得している強豪。競技人口もクラブチームの数も、日本の3、4倍近くにのぼる。車いすラグビーが盛んな国だ。 ただ北京以降は、ロンドン(銅メダル)、リオ、東京(銀メダル)と悔しい結果に終わっており、2028年に自国開催となるロス・パラリンピックを見据えるうえでも、パリ・パラリンピックへの思いは強いはずだ。今大会には絶対的エースのチャック・アオキや、2022年の世界選手権で鮮烈なデビューを果たした新星、サラ・アダム(女性選手)をはじめ、代表常連のエース級を中心としたメンバーで臨んでいた。 もちろん、パラリンピックの金メダルに強いこだわりを持つのは日本も同じだ。 銅メダルに終わった東京パラリンピックでの悔しさを胸に、悲願の金メダル獲得に向けて強化に取り組んでいる。 まるでパラリンピック決勝のような戦いが後半も続いた。 第3ピリオド、トライを奪い合う派手なパフォーマンスを演出するハイポインター(障がいの比較的軽い選手)を、長谷川勇基、小川仁士の障がいの重いローポインター陣が黙々と支える。