福島県国見町の救急車事業第三者委が報告書 「企業の意のまま」批判 官製談合は否定
福島県国見町が中止した高規格救急車開発事業の委託業者との契約内容などを検証する第三者委員会は13日、報告書をまとめた。ワンテーブル(宮城県多賀城市)を委託先とした公募型プロポーザルの仕様書の作成経緯などについて「官製談合とはいえない」とする一方、公正性や透明性を欠いていたと批判した。 報告書では救急車事業の素案を作成した官民連携団体の事務局だったワンテーブルが、業務の一環で町の産業創出に向けた助言をしていたことに言及。仕様書の寸法が救急車製造を担ったベルリング(東京都)の車両と酷似しているという疑惑について、専門知識の無い職員が同社にアドバイスを受けており、「(同社の)意のままに事業運営を行っていたと見られても仕方の無い状況」と指摘した。 町議会の調査特別委員会(百条委員会)が7月に報告した、プロポーザルから車両の納入までが約4カ月と短期間だったことについては、「救急車開発という参入障壁の高い事業ならば、より余裕のある期間を設定すべきだった」との見解を示した。
第三者委は昨年6月、町民から事業に関する情報開示を求める声が出たのを受け設置された。県弁護士会長の鈴木靖裕委員長(福島市)ら有識者3人が委員を務めている。 鈴木委員長は町に答申書を提出後、記者会見を開いた。十分な検証をしなかったとして、予算を承認した議会や監査委員についての責任にも触れながら、「外部企業の主導で事業が進まない体制づくりを町全体で進めていく必要がある」と結論づけた。 引地真町長は「百条委からの提言と合わせて、内容を真摯(しんし)に受け止め、同様の事態が発生しないよう対応する」とコメントした。