「コロナショック」の中に見える経済の“明るい兆し”
「金」が安全資産の価値を保っているか
もう一つ注目すべきは、安全資産の代表格である「金」の動向です。通常時において、金は逃避資金の受け皿の役割を担っているため、投資家がリスク回避姿勢を強める局面で上昇する傾向があります。しかしながら、3月中旬は安全資産の金でさえも投げ売りのターゲットにされ、株安・金安となりました。このようなキャッシュ・イズ・キング現象ともいうべき状況に陥ったことは、金融市場が極度の緊張状態にあったことを意味しています。 もっとも、3月20日頃からは株価が下落する一方で、金価格が上昇するという、ある意味、本来あるべき姿が戻ってきました。これはFRBによる大規模資金供給が奏功したことなどによって、投資家が極度の緊張状態から解放されたことを意味しているのかもしれません。もちろん、今後の展開次第では再び金ですら投げ売りの対象にされてしまう状況が到来してしまうかもしれませんが、3月中旬との比較において状況は安定しつつあるように思えます。 危機モードでは(1)短期金融市場が機能していること、(2)金が安全資産としての性格を保っていること、この2つをチェック対象に加えることが有用と考えられます。
---------------------- ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。