温泉リゾート業界に宣戦布告…?アパホテル親会社「大江戸温泉の資産運用企業の全株取得」驚愕の狙い
アパ投資顧問株式会社――。 聞きなれない企業名だと思われるのも当然だろう。12月12日にアパホテルを全国展開するアパグループ(以下、アパ)が、資産運用会社・大江戸温泉アセットマネジメントの全株を取得。19日に新会社名をアパ投資顧問に変更したと発表したのだ。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が、大江戸温泉アセットマネジメントが全株譲渡した背景を解説する。 黄緑の帽子に大胆に短いスカート…アパ創業者一族「キャラ濃すぎ」ファッション写真 「ここ数年、大江戸温泉グループ(以下、大江戸温泉)は新型コロナウイルスの影響などで業績が低迷していました。収益が落ち、系列の資産運用会社の財務基盤強化に力を注ぐのは難しい状況だったようです。アパに新たなスポンサーになってもらうことで、財政支援を見込んでいるのでしょう」 ◆ポイントになるトップ交代 アパ側から見れば新規ビジネスのチャンス。一部メディアは、温泉リゾート業界に宣戦布告するのではと報じている。 「アパは、大江戸温泉の施設の一部を利用できるようになるでしょう。アパの業績自体は好調ですが、リモート作業の定着や少子化を考えると出張が主体のビジネスホテルという形態に不安が残る。海外からの旅行者やファミリー層に人気のある温泉リゾート業界に魅力を感じ、うって出てもおかしくありません」(全国紙経済部記者) 前出・松崎氏の見方は少し違う。「アパの真の狙いは別にある」という。 「確かに温泉リゾート業は、成長の可能性のあるビジネスです。温泉付きホテルにリニューアルすれば、利用客が増えるかもしれません。しかし、本当の狙いは別にあると思います。ポイントとなるのが’22年4月付けで創業者の元谷外志雄氏が会長に退き、長男の一志氏が社長兼CEOに就任したトップ交代です。 新体制になったタイミングで新中期5ヵ年計画を策定し、チェーン展開を強化し事業を拡大しようとしています。アパはビジネスホテル企業のイメージが強いですが、不動産会社でもある。大江戸温泉から資産運用会社の全株を取得したことで、不動産を活用して投資家から資金を集める『リート』などの新たな資金調達手段網を獲得することが狙いだと思います」 松崎氏は、さらなる展開も予測する。 「アパは北米などでもチェーン展開を進めていますが、今後は資産運用会社を活用してアジアや中東などへの海外展開に乗り出していくかもしれません」 アパが獲得した新しい資金調達手段網――。急成長するホテル業界のガリバーは、さらに勢いを増しそうだ。
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