「卵子凍結」は未来への一歩。フィギュアスケーター 小松原美里さんが30歳で決意した理由
30歳で「卵子凍結」を決意したフィギュアスケーターの小松原美里さん。アイスショー出演のために一時帰国したスケジュールの合間を縫って、クリニックの受診と採卵準備を進めてきました。キャリアとライフプランの葛藤や受精卵ではなく卵子を凍結した理由など、「競技者としても、一人の女性としても、後悔はしたくない」という思いを語っていただきました。 フィギュアスケーター 小松原美里さんインタビューフォトギャラリー
「卵子凍結」は、今の自分にできる選択
──30歳というタイミングでの卵子凍結。どんな思いから決意されたのでしょうか。 2022年の北京オリンピック出場が決まる前に、“オリンピックに行けなかった場合の人生”を考えたことがあるんです。実力は伸びているから、まだ競技は続けたい。その一方で、女性としての漠然とした不安もあって。2026年に開催されるミラノ・コルティナオリンピックが終わる頃には33歳。それまでに準備しておけることはないかと調べる中で、スノーボード選手の竹内智香さんが卵子凍結されたことを知りました。「そんな選択肢があるんだ!」と驚いたし、すごくうれしかったのを覚えています。そして、その選択肢を“うれしい”と感じるほど自分は不安だったんだ、と気づけた瞬間でもあります。 妊娠・出産についての具体的なプランはまだ決めていません。母に孫の顔を見せてあげたいと考える自分もいるし、経済的なことも含めて授かる準備を整えられるだろうか…というのも正直な思いです。そして、世界には家族を必要としている子どもたちもたくさんいるので、養子縁組で養親(里親)になることも選択肢のひとつ。気持ちはその時々で揺れ動くけれど、それでいいと思っています。ただ、選択肢がないことで後悔しないように、“今できること”として卵子凍結を選びました。 ──アスリートの場合、競技へのプレッシャーなどから生理が止まる人も多いと聞きます。 そうですね。アイススケートは体が冷えることに加えて、体重維持やストレスから生理が止まることも珍しくありません。私自身、生理がこないというだけで病院を受診することはありませんでした…今思えば、それも不安を感じる理由だったのかもしれません。