戦禍の記憶継承を長岡に学ぶ 富山大空襲を語り継ぐ会、資料館の重要性確認
富山大空襲を語り継ぐ会は17日、79年前に空襲を受けた新潟県長岡市内を巡る研修バスツアーを行った。同会は、県内で戦争遺品や資料などを常設展示する場の開設を目指している。参加者12人は、長岡戦災資料館や慰霊の花火である「長岡花火」に関する施設を見学し、後世に戦禍の記憶を継承するための場の重要性を考えた。 富山県や富山市によると、県内に空襲に関する資料を常設展示したスペースはない。今回の長岡研修は、資料を保存する場の開設につなげようと、富山大空襲を語り継ぐ会が初めて企画した。 長岡空襲は1945年8月1日午後10時半ごろ、125機の米軍爆撃機B29が焼夷(しょうい)弾を投下し、長岡市街地の8割を焼失。1488人が亡くなったとされる。長岡戦災資料館は市民ら有志の要望を受け、空襲の記録保存と継承のため、2003年に開設された。現在は市が長岡駅近くの民間ビルを借り、所蔵資料6千点のうち250点を展示。26年には市所有の4階建て建物を改修した上で移転し、展示を強化する。
参加者は長岡空襲に関する映像を見た後、近藤信行館長から資料館開設の経緯や、平和学習の取り組みなどについて説明を受けた。近藤館長は、戦後50年ごろから資料館開設の声が上がったとし「市民らの熱意が開設につながった」と振り返った。 館内には空襲の悲惨さを訴えるため、戦没者367人分の遺影を集めて飾っており、参加者が写真に見入っていた。 親子3代で語り部として活動する富山国際大付属高1年の西田七虹(ななこ)さん(16)は「残された資料の集め方など富山で生かせる。戦争を知らない世代にとって資料館は学習の場になる」と話した。 恒久平和への願いを込めた長岡花火のミュージアムも訪問。慰霊の花火「白菊」が打ち上がる映像などを鑑賞した。 富山大空襲を語り継ぐ会は、資料館開設に向けて年末までに3千人の署名を集め、富山市に要望を行う予定だ。同会幹事の高安昌敏さん(76)は「資料館をつくった後、どのように継続させていくかが重要。活動に協力してくれる人が増えればいい」と語った。