消火栓から水が出ない…米ロサンゼルスの"大規模火災"に消防隊が苦戦している"乾燥と強風"以外のワケ
7日に発生した米ロサンゼルスの山火事は、いまも消火活動が続けられている。消防隊が苦戦している背景には、ロサンゼルス特有の乾燥や強風のほかにあると地元メディアが伝えている――。 【写真】1月9日午後の最新情報を伝えるロサンゼルス郡消防局のポスト ■「まるで戦場です」ロス郡幹部が語る悲惨な被害状況 ロサンゼルス近郊で続く4つの山火事で、特に大きな被害を受けたのが市街西側のパリセイズ地域だ。焼失面積は現地時間14日までに2万3713エーカー(約96平方キロ)におよび、ロス火災全体の被害面積のおよそ6割を占める。確認されているだけで約5000棟の建物が焼失した。 これと別に、現在までに1万4117エーカー(約57平方キロ)を焼いた市街北部のイートン火災も依然強い勢いで進行している。被災者の一人、59歳女性で旅行代理店勤務のマラル・ナザリアンさんは、着の身着のままで避難。一命を取り留めたが、自宅は焼失した。ワシントン・ポスト紙の取材に、「夫の兄も家を失いましたし、夫の同僚もまた家を失いました。誰も家がないのです」と語る。 ナザリアンさんのように全てを失った人々は数え切れない。ロサンゼルス郡で行政監督を行う理事会のメンバーのひとり、キャサリン・バーガー委員長は記者会見で、「まるで戦場のようです。このような光景は見たことがありません」と述べ、被害の深刻さを強調した。 カリフォルニア州消防当局によると、ロサンゼルス近郊で進行している4つの山火事は現地時間1月14日までに、合計3万8690エーカー(約157平方キロ、東京23区の面積の約4分の1に相当)以上を焼失。24人が死亡し、8万人以上が避難を強いられている。 ■消防隊は現着しているのに、消火栓から水が出ない なぜ被害は拡大したのか。ロサンゼルス特有の乾燥した気候や強い風に加え、消防設備の限界が指摘されている。米ナショナル・ジオグラフィック誌は、今回のロサンゼルス山火事のひとつ、西部パリセイズ火災における詳細を報じている。 アメリカ最大の公営水道・電力会社であるロサンゼルス水電力局のジャニス・キノネスCEOは同誌に、火災発生からわずか7時間で、300万ガロン(約380万リットル)を備蓄可能な給水タンク1基が空になったと語る。 パリセイズ地域では消火栓への給水源として、ほかに同規模のタンク2基を備えていた。だが、火災初日の夜までには2基目が、翌日未明には最後の3基目も次々と底をついたという。 結果、まさに燃え盛る家屋の前に消防隊が到着しても、消防車に接続した消火栓から水が出ないという事態が随所で発生。住民らはソーシャルメディアで、消火栓から水が出ない、あるいは破損しているとの投稿を相次いで行っている。