【高校野球】北海が春を制す、北海道内公式戦連勝記録を27に伸ばし連覇達成!
◆春季北海道高校野球大会 ▽決勝 北海3―2クラーク(28日・札幌円山) 北海が3―2でクラークに勝利し、駒大苫小牧以来17年ぶりの連覇を達成した。23年春から続く道内公式戦連勝記録を27に伸ばし、05年夏~06年夏の道大会(夏は南北海道大会)を制した駒大苫小牧以来の4季連続道大会優勝を達成。エース不在の中、左腕・浅水結翔投手(2年)ら1、2年生の投手陣が踏ん張り、春の北海道で13度目の頂点に立った。 主役不在でも北海は強かった。1点リードの9回。2番手・浅水が最後の打者を三振に仕留めてゲームセット。今春、全試合で最終イニングを締めた左腕は「どの試合よりも一番うれしい」とウィニングボールを手に喜びをかみしめた。 道内公式戦20連勝のまま春を迎えたが、平川敦監督(53)は「勝てるとは思ってなかった」と振り返る。昨秋全道優勝に貢献し、3月のセンバツ出場時にエースだった松田収司投手(2年)が右肘を痛めて戦線離脱。経験豊富な野手はそろう一方、投手陣は未知数だった。 危機的状況の中“けがの功名”とばかりに下級生が頭角を現した。センバツ期間にスリークオーターに腕を下ろした浅水が地区から全7試合に登板。全道では準決勝で公式戦初完投を果たすなど、防御率1・66で新“エース”に名乗りを上げれば、6試合で先発した小野悠真、4試合登板の左腕・橋本宗史郎の1年生コンビもルーキー離れの投球を披露。地区3回戦から6試合連続で2点差以内の接戦をものにし、指揮官は「(勝因は)ピッチャーの頑張り」と褒めたたえた。 5月初旬の練習試合では旭川実や東海大札幌などに大敗。状態はどん底だった。地区でも本来の実力を発揮できず、平川監督から「(3年生は)もう主役じゃなくていい。裏方に徹しろ」と突き放された。「悔しくて、本当に変わってやろうと全員で誓った」と金沢光流主将。練習態度を一から見つめ直し、全道へ。この日は最高学年の意地で7回に決勝打を放ち「主役にちょっと近づいたかな」と主将は胸をなで下ろした。 連覇の余韻に浸る間もなく、6月23日には夏の札幌地区予選が開幕する。遠投を再開している松田も「夏は自分が投げて勝ちたい」と逆襲に燃えており、5季連続Vに向けて臨戦態勢はさらに整いそうだ。金沢は「最終目標は夏勝つこと。それに向けて今から練習で追い込んでいく。引退するまで負けたくない」。南北海道大会を制するには6勝が必須。道内公式戦最多連勝記録は駒大苫小牧が持つ32。主役が現れれば、記録更新の33連勝と夏の甲子園2年連続出場は射程圏内だ。(島山 知房) ◆駒大苫小牧道内公式戦32連勝 甲子園連覇を果たした05年夏の室蘭地区初戦から連勝がスタート。楽天・田中将大投手や駒大でヘッドコーチを務める林裕也主将らを擁して同夏、秋、06年春、夏の道大会(夏は南北海道大会)を4季連続で制し、夏の甲子園で3年連続決勝進出を果たした。06年秋の同地区1回戦で勝利し記録を32に伸ばしたが、2回戦で北海道栄に1―8でコールド負けし連勝がストップした。 〇・・・クラークは逆転負けで創部初の春優勝を逃した。0―0の5回に児玉旭陽投手(3年)の適時三塁打、金原律外野手(3年)の左前打で2点を先制。しかし2―1の6回に2番手・佐藤蒼汰投手(3年)が同点ソロを浴びると、7回は2死から連打で決勝点を献上。春夏秋の道大会タイトル制覇はならず、佐々木啓司監督(68)は「もうちょっとだったね」と悔しさをにじませた。 成長も示した。北海には大会前の練習試合で0―3と完敗。この日は守備で無失策、打っても8安打と粘りを見せ「(力差も)少し追いついて。よく打ったし、よく守った」と指揮官。無安打に終わった4番の芳賀陸人一塁手(3年)は「悔しい。夏はチャンスで打てる打者に」と雪辱を誓った。
報知新聞社