思考力試す就活面接「ラーメン屋の新規出店戦略を考えてください」どう答える? 現役コンサルによる1つの解答例
今、就活市場で人気が高いコンサル業界には「ケース面接」と呼ばれる独特の入社試験がある。志望者の問題解決力や地頭力を測る試験だ。新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームの入社試験に対して、現役コンサルタントや内定者の解答を集約した前代未聞の1冊だ。本稿では「ケース面接の例題と解答例」について、本書から一部を抜粋・編集して紹介する。 ● 外資系コンサルの入社試験に挑戦してみよう! 面接官: 「ラーメン屋の新規出店戦略を考えてください」 ● 回答のヒント ・どのようなラーメン屋の新規出店を検討するかを明確にしましょう。 ・ラーメン屋の経営状況、立地や客層などについて想像し、新規出店の目的を明確にしましょう。 ・新規出店した際に、十分に利益を獲得して黒字経営を行うために重要な要素について考えましょう。
回答のポイント:対象となるラーメン屋を具体的にイメージし、「現状」と「あるべき姿」を明確に定義する ラーメン屋が現状で抱えている課題を想像し、ラーメン屋が目指すべき「あるべき姿」を定義することで、「現状」と「あるべき姿」のギャップを踏まえた新規出店の戦略を提案しましょう。 ● (1)ラーメン屋を具体的に想像し、新規出店の目的を定める 具体的な検討に入る前に、まずは今回依頼をいただいたラーメン屋について、より具体的に想定したいと思います。 ・立地は、東京郊外のとある駅から徒歩3分以内 ・グルメアプリで人気の行列ができるお店 ・1店舗で経営しているが、新規出店戦略を検討中 ・メニューは基本のラーメンに加えてトッピングオプションがある ・餃子、チャーハン、ドリンクなども提供する ・客単価は1000円程度 ・従業員は2~3名で、正社員1名とアルバイト数名が働く なお新規出店の目的は、短期的には混雑・行列によって取りこぼしている客層の獲得、長期的には複数店を経営するチェーンへと成長することと設定します。 この際に、新規の店舗でもこだわってきたラーメンの味を落とさず拡大していくことが、店主が特に重視していることだと想定します。 ● (2)ラーメン屋の経営にとって重要な要素を明確化する 新規出店に際しては、黒字で経営できるような計画を練ることを前提とします。 ラーメン屋における利益は「売上-費用」となります。 まず売上については、 売上=「1店舗あたりの客数」×「1店舗あたりの平均客単価」×「店舗数」 と分解できます。 来店する客数に関しては、既存顧客と新規顧客に分解できます。 利益確保のためには、新規店舗でもいずれかの顧客の来店を促すことで、既存店同様の高い稼働率と回転率を実現する必要があります。 なお、競合が多く存在することから、平均客単価の大幅な値上げは難しいと考えます。 ただ、トッピングやサイドメニューを充実できれば、ラーメン以外の追加注文で客単価の向上を狙うことが可能です。 次に、費用については、 費用=「変動費(材料費・運送費・アルバイトの人件費)」+「固定費(賃料・正社員の人件費・採用や育成の費用)」 に分解できます。 変動費については複数店舗の利点を活かし、材料を多く仕入れることによる仕入れ単価の引き下げや、資材や材料を混載することによる運送費の削減などで抑えられます。 また、固定費には賃料や正社員の人件費などが含まれますが、初の試みの中で失敗するリスクを下げるためにも、可能な限り低く抑えるべきと考えます。 一方で、新規出店のために追加で採用する従業員・アルバイトの採用や育成にかかる費用は必要でしょう。 ● (3)多様な観点から新規出店戦略について検討する 先ほど検討した内容をもとに、私は東京郊外の人気ラーメン屋の新規出店戦略を次のように考えました。 ・立地:新店舗は、既存店舗の周囲5km圏内に出店 ・メニュー:既存店舗のメニューに加え、新店舗オリジナルのメニューを開発 ・価格:現在の価格を据え置き ・広告宣伝:既存店舗にて新店舗の紹介を実施 まず立地について、新店舗は既存店舗の周辺へ出店すべきだと考えます。 既存店舗と同様、郊外での出店により賃料は低く、変動費に関しても資材や材料を一括で運搬することで運送費を抑えることができます。 また、既存店舗と新店舗で従業員やアルバイトを融通し合うことで、従業員の新規採用費や教育費用も削減できると考えました。 また、メニューや価格、広告宣伝について、短期的には混雑・行列によって取りこぼしている既存顧客層をターゲットとしたうえで、人気メニューのラインナップは大きく変えず、価格も据え置く方針がよいと考えました。 新店舗が軌道に乗るまでは、味を落とさないためにスープは本店で作り運搬するといった工夫を行うべきだと考えます。 一方、既存顧客の足を新店舗に向かわせるために、新店舗オリジナルのメニュー開発と既存店舗での宣伝が効果的であると考えます。 今後、新規出店が成功して、十分な投資資金を確保し、採用した従業員やアルバイトが一人前となった段階で、より一層の規模拡大に向けた3店舗目の新規出店も実現できるとよいでしょう。 周辺地域外のエリアも視野に入れるならば、ファミリー層などの新規顧客層の取り込みのためにロードサイド店の出店なども検討するのはどうでしょうか。 以上です。ありがとうございました。 ※ケース面接の答えは1つに定まるものではありません。提案内容が皆さんの考えと大きく異なる場合もあると思いますが、その際は思考の深さや提案内容の具体性を見比べて自己評価してみてください。