幽霊のような見た目のアナグマが出現、「こんなアナグマを見たのは初めて」と研究者仰天
珍しい色の影響は
通常、アメリカアナグマは全体的にもっとくすんだ色をしており、鼻の先から背中に向けて白と黒の縞模様が入っている。 「このような模様は、多くの場合、凶暴な習性を表しています。あるいは、巣穴を出るときに、まず顔が見える動物に見られます」とスタンコウイッチ氏は言う。 幽霊のようなアメリカアナグマの顔には白黒の縞模様がなく、捕食動物に襲われる危険が高くなるかもしれないと、氏は指摘する。 とは言うものの、アメリカアナグマは攻撃的で、追いつめられるとシャーと鳴いたり、うなり声を立てたりして威嚇する。また外皮は分厚く、たるんでいるため、アメリカワシミミズクなどの捕食者が長時間つかまえておくのが難しい。 そしてアメリカアナグマには鋭い歯と強力なあごがある。これを使ってプレリードッグやネズミといった獲物を捕まえる。コヨーテと一緒に狩りをする姿も記録されており、お互いに獲物を捕まえるのを手伝っているようだ。
子孫は残せる?
敵を退けるという能力において通常のアメリカアナグマと大きな差は見られなくても、赤髪症であることは、繁殖相手を見つける確率に影響するかもしれないとスタンコウイッチ氏は言う。 夏から初秋にかけての交尾期、オスは縄張りの中にいる複数のメスを追い求める。 「オスは必ずしも縄張り意識が強いわけではありません。行動圏も重複していることが多いのですが、メスは違います。私が知る限り、交尾は巣穴の外で行われます」と、アナグマの研究者で現在は環境コンサルティング会社に勤めるジェシー・クイン氏は言う。 しかし、アメリカアナグマの求愛行動において外見がどれだけの作用を及ぼすかは研究者にとっても明らかではない。 「どんな繁殖相手を選ぶかを理解するには、アナグマの頭の中をのぞくしかありません」とスタンコウイッチ氏は言う。 今回発見されたアメリカアナグマが今後どうなるかは、残念ながら分からないとスブラマニアン氏は言う。 「何日も待ち続けましたが、二度と現れませんでした」
文=KILEY PRICE/訳=三好由美子