「自宅はすぐそこなのに…ほったらかしや」津波被害の石川・珠洲市寺家地区 避難所の世話に追われる被災者の悲鳴
1日の大地震で津波が襲った石川県珠洲市沿岸部。一時孤立状態となっていた集落では、地震から1週間以上経った今でも、手つかずのまま爪痕が残っています。 【写真】今も手つかず…津波の被害地域のようす 珠洲市東部の沿岸部にある、三崎町寺家地区です。 今月1日、集落を津波が襲い、民家から流されたタイヤや冷蔵庫などの家財道具が、道路のあちこちに散乱。がれきが道路を塞ぎ、一時孤立状態となりました。 住民の男性「全部津波で流されて…。襖も全部、ダメ」 こう話す男性の住宅は、7つの部屋を仕切っていたふすまが流され、建物の骨組みだけが残されていました。 ■押し寄せた津波の高さか…二階へ上がる階段の途中にあったスリッパ そして階段の真ん中には、本来あるはずのないスリッパが置き去りに。津波がこの位置まで押し寄せて来たのだといいます。 住民の男性 「下の戸が割れる音がしたんで、急いで出ようと思って。海はもう潮が引いたのが分かったんで。ショックというか…。何も考えられん」 男性は、一緒に住む妻と90代の母とともに高台へ逃げ出し、無事でした。 多くの家屋が甚大な被害を受けた寺家地区の孤立状態は解消されたものの、避難所では電力が復旧せず、薄暗い空間での生活を強いられています。 また、避難者の8割が高齢者で、十分な食事もままならないといいます。 ■「地区は壊滅状態」住民が語る被害 川上本町集会所 区長会長・辻一さん 「私の地区は、壊滅状態。何すればわからん状態」 辻さんは去年、同じ寺家地区に娘夫婦の家を建てましたが、今回の津波で被災。引っ越してから、わずか1週間でのことでした。 川上本町集会所 区長会長・辻一さん 「話してたら涙出てくるんですけど…本当に悲しいです。今後どうなるんかな、俺の地区は。この集会所暮らしいつまで続くんかな。避難しとる人たちもストレスが溜まって、ラジオ体操したりして気を紛らわせてる」 跡形もなくなってしまった住み家に、先の見えない避難所での生活。住民たちからは疲れの色が見えています。
■戻れるなら大晦日に戻りたい 川上本町集会所 区長会長・辻一さん 「戻れるのなら、去年の12月31日に戻りたいです。大晦日にすき焼き食べたり、家族全員揃って過ごしとったもんで。おれ(集会所の世話してるから)自宅には行けれんげんて。家すぐそこなんですけど。ほったらかしや、まだ。正月に妻が作ってくれたぶり大根とか、散乱したままですよ」 それでもなお、愛着のある寺家地区には住み続けたいと話す住民たち。余震が続く中、平穏な日々はいつ戻ってくるのでしょうか。
北陸放送