回収困難な新型コロナ「ゼロゼロ融資」、1兆5633億円…この1年で1・5倍に
新型コロナウイルス対策で政府系金融機関が中小事業者向けに実施した特別融資のうち、昨年度末時点で1兆5633億円が回収不能かその恐れがあり、1年間で1・5倍に膨らんだことが会計検査院の調べでわかった。原材料費の高騰などによる経営悪化を背景に、公金を原資とした特別融資の回収不能額がさらに拡大する可能性がある。
特別融資はコロナ禍で売上高が減った事業者に最大6億円を貸し付けるもので、多くは実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」。2020年3月から実施され、ゼロゼロ融資の申請は22年9月に終了し、それ以外の低金利の融資も含めた全ての申請が今月末で終了する。
検査院によると、政府系金融機関が昨年度末までに貸し付けた特別融資20兆6397億円のうち、回収済み額は8兆892億円(前年比3兆309億円増)。一方、倒産などによって回収不能が決定したのは1490億円(同792億円増)だった。
また、貸し付け中の残り12兆円超のうち、事業者が経営難に陥っていることなどから2178億円(同931億円増)が実質的に回収できない状態となっており、1兆1965億円(同3179億円増)は回収不能の恐れがあるという。
検査院幹部は、「円安や物価高で、多くの中小事業者が経営に苦しんでいる現状を踏まえれば、回収不能額はさらに拡大する恐れが大きい」としている。