「動画配信だけが唯一の居場所だった」41歳、のめり込んだ「迷惑系」 焼き肉店の卓上に土足、罪に問われた被告が譲れなかったもの
後日、店には菓子折りを持って謝罪したが、この時も生配信を行い、受け取りは拒否されたという。「反省している様子を記録したかった。今思えば拒否されてもしょうがない」とうなだれた。 公判では弁護側の証人として、男性のファンだという配信者仲間の女性が出廷した。保釈中は男性の自宅に通い、身辺の世話をしているといい、今後は迷惑行為をしないよう監督すると約束した。親族とは絶縁状態という男性は「唯一の家族だと思っている。これからは何でも相談していく」と涙ぐんだ。 ▽「配信やめるつもりは」裁判官の問いに男性は… 一部始終を聞き終えた裁判官は、そもそもなぜ人に迷惑をかけるまで酒を飲んだのか尋ねた。男性は「もともと人と話すのが苦手。お酒を飲むとコミュニケーション力が向上する気がした。本当は酒の味は嫌いだけど動画を配信する時は飲んでいた」と打ち明ける。 さらに裁判官は「ここまで動画配信にこだわるのは異常で世間の感覚とずれている」と述べ、配信以外に別の仕事をする選択肢はないのかと問いかけた。この質問に男性は、生活費や活動資金を動画から得た収益でまかなっていると説明。「いろんな仕事をしたけど続かなかった。動画配信をとられたら自分が成り立たない。これからも続けさせてほしい」と証言台から身を乗り出さんばかりに懇願した。 男性は最後まで自分が「配信者」であることに固執し続けた。
▽判決後、最初にとった行動 法廷で「被害者の方に迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪や反省の言葉を何度も口にする一方、配信をやめることはかたくなに拒否し続けた男性。9月、言い渡されたのは懲役10月、執行猶予4年の判決だった。 裁判官は「執行猶予は無罪放免の制度ではない」とくぎを刺し、「次に法廷に来るときは刑務所に行く時です。覚悟を持って生活してください」と諭した。 判決後、地裁前には裁判を傍聴したファンや配信者仲間が待ち構えていた。姿を見せた男性が最初にしたのは、自身の有罪を報告する生配信だった。