諸悪の根源は天竜人? 『ONE PIECE』に悲惨な過去を持つキャラクターが多すぎる
一昨年に最終章に突入してから怒涛の展開を見せている『ONE PIECE』で、バーソロミュー・くまとジュエリー・ボニーの過去編が公開された。そのあまりに凄惨さにネット上で話題になったのは記憶に新しい。父子の人生は世界政府に狂わされてしまったが、それはくま、ボニー親子だけではない。今回は、そんな痛ましい過去を持つキャラクターにスポットを当てていきたい。 【写真】ナミ、ハンコック、たしぎやビビのモデルも……『ONE PIECE』のキャラをイメージしたウェディングドレスが美しい ■世界政府と天竜人に狂わされた父子の人生 まずは最初に述べたくま、ボニー親子だ。実はボニーはくまの実の父親ではない。ボニーの母であるジニーはくまにプロポーズまでする仲だったが、くまは自分の血筋によって奴隷に落とされた過去があるためそれを受け入れることができなかった。くまは生まれながらに奴隷階級とされている“バッカニア族”の生き残りだったのだ。 父母と共に奴隷となり、引き離され、死に目にも会えず母は亡くなった。くまを励ましてくれていた父もくまの目の前で天竜人に殺される。そしてくまについて革命軍に入隊したジニーも天竜人に攫われてしまい、病気になったからといって赤子共々捨てられたのだ。 大切な人たちに降りかかる悲劇に耐えながらも、くまはボニーに愛情を与え続け、父子仲はとても良好だった。そんな折、ボニーに母ジニーと同じ症状が出現する。くまは革命軍を辞め、ボニーの治療方法を必死に探した。そしてついに政府の天才科学者Dr.ベガパンクに辿り着く。しかし世界政府は「自身が海軍の『人間兵器』になる」「最終的に一切の『思考』と『自我』を捨てる」などの厳しい治療条件を突きつける。どうしてもボニーを救いたかったくまは、その条件に頷くしかなかった。 サイボーグになるまでの2年間、ボニーに近づくことも禁じられたくま。そのため一生分の想いを込めた手紙をボニーに宛てて書いていたが、世界政府の監視に処分されてしまう。それを訝しんだボニーは海へ出ることを決意。しかし結局、元気になったボニーとまみえることなく、くまは「思考」も「自我」も失ってしまった。 ■奴隷だった過去、憎しみの連鎖による迫害 元王下七武海の1人で、女ヶ島アマゾン・リリーの皇帝ボア・ハンコックも奴隷として迫害されていた過去を持つ。12の頃、姉妹と共に攫われて売り飛ばされ、奴隷となった。その際のことをハンコックは「何の希望も見出せず、死ぬことばかり考えていた」と述べている。 その心の傷は逃走してからも癒えず、ハンコックは奴隷であった過去を全国民に隠し続けている。誰にも心を許すことができず、誰にも隙を見せることができない。過去は彼女たち三姉妹を孤独の檻に捕え続けていた。 対照的なのは元天竜人のドンキホーテ・ドフラミンゴだ。父親の“人間宣言”で一家はマリージョアを出て人間として生活することになる。父親は慎ましく静かな暮らしができると思っていたようだが、待っていたのは天竜人によって苦しめられてきた人々の復讐だった。憎しみの捌け口として暴力に耐え、食べるものも無くゴミを漁る日々。幼き日の強烈な体験は、ドフラミンゴに天竜人が支配する世界の破壊を決意させた。 天竜人の支配する世界の歪みは登場人物の人生に大きな影を落とし、更なる悲劇を生む。今まで決して権力に媚びることなく正面から立ち向かってきたルフィ達だが、世界政府はあまりにも強大で手強い。どのようにルフィ達が歪な世界を破壊してくれるのか、今後の動向から目が離せない。
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