センバツ2023 彦根総合・フードクリエイト科 食への学び、限りなく /滋賀
◇市販商品開発やSDGs活動 第95回記念選抜高校野球大会に出場する彦根総合(彦根市芹川町)は、生徒たちの夢に直結した学びの場を提供するため、さまざまなコースを設けている。総合学科内に製菓を学ぶコースがあるほか、独立した学科となっているフードクリエイト科は市販商品の開発にも携わるなど、活動の幅は広がっている。【礒野健一】 2月中旬、専門学校にも匹敵する設備を整えた調理室で、同科2年の生徒たちが、煮込みハンバーグを作っていた。味付けはもちろん、時間内に予定人数分を作れるか、手際の良さも重要だ。料理は自分で食べるだけでなく、教職員の昼食としても出されて、客観的な感想を出してもらい次への糧としている。 在校中の調理師免許取得を目指して料理の腕を磨く一方で、新たな食文化を育む活動も行っている。食品ロスを減らすSDGs(持続可能な開発目標)の観点から、2022年秋から和歌山県立新翔高(新宮市)と協力し、マグロの頭や骨を使った新商品開発を始めた。圧力鍋で柔らかくした骨などを素材にしたミートボールを商品化し、近く一般販売する予定だ。フードクリエイト科の笹井昭彦科長は「生徒の進路は料理人から管理栄養士、食材の生産者まで多岐にわたる。さまざまな経験をして、視野を広げてほしい」と願う。野球部で唯一、同科に所属する中園力斗さん(17)は「学んだ食の知識を生かしてトレーニングに励み、この冬は下半身もどっしりしてきた」と話す。 初のセンバツ出場が決定した日に、サプライズでお祝いのケーキを出したのは、総合学科製菓・コーディネート系列の生徒たちだ。甲子園球場のスコアボードを模したチョコプレートに、バットやボールも菓子で作り、色鮮やかなフルーツを盛り付けた。また報道陣向けにも生徒手作りの焼き菓子を用意し、プロ級の味わいが大好評だった。同系列の西口敦史主任は「ただ作るだけでなく、商品として食べてもらうことを意識させている。定期的に校内マルシェを開き、価格設定や販売広報についても学んでいる」と話す。 2年の藤本佳歩さん(16)は「おいしそうに食べてもらえるのがうれしい。いずれは校外でも販売してみたい」。杉浦和斗さん(17)は「野球部のセンバツ出場は刺激になる。食でみんなを笑顔にしていきたい」と力を込めた。