黒部ダム「日本一高所の遊覧船」 今季でお別れ 記念の缶バッジやカードも
関西電力グループ会社の関電アメニックス(大阪市)は、長野県大町市と富山県を結ぶ立山黒部アルペンルートの黒部湖(富山県立山町)で運航している遊覧船を今年限りで終了する。船体の老朽化や乗客数の低迷を受け、27日に国土交通省北陸信越運輸局に事業の廃止を届け出た。 【写真】黒部ダムへはラッピングバスも 同社は1969(昭和44)年、山々の新緑や紅葉がきれいな時期に合わせて運航を開始。初代の船は「黒部丸」の名称で親しまれ、現在は2代目の「ガルベ」を運航している。黒部ダムの満水時には湖面の標高が1448メートルに達し、「日本一高所の遊覧船」として全国的な人気を誇った。 乗船客は2003年の年間5万4500人をピークに減少し、昨年は1万8400人まで落ち込んだ。新型コロナウイルスによる観光需要の冷え込みや、団体旅行の減少が響いたという。現行のガルベは就航から四半世紀がたち、エンジン関連の修理部品などの入手が難しくなっている。新造も検討したが、費用面から事業の継続は難しいと判断した。 今年の運航は6月1日~11月10日。最後のシーズンとして、缶バッジ付き乗船券を発行する他、先着千人限定で船舶カードを配る。船内や扇沢駅(大町市)の売店などでは記念商品を販売する。 同社くろよん観光事業部(同)は「終わらせてしまうのは残念。一方、皆さまに長年支えられてきたことに感謝したい」としている。