99件のセクハラ行為認定で辞職した岐南町長が「ひきょうだ」と捨て台詞…最後まで反論続け調査費全額負担も拒否
「怪文書」で調査妨害も、町長自らが関与か
この報告書の内容で、一つ気になったことがある。それは「怪文書」の存在だ。 報告書によれば、第三者委員会が設置された直後の23年7月10日早朝、「岐南町職員有志一同」の名で「職員の皆さんへ」との表題の文書が職員の机の上に複数枚配布されていたという。回収された枚数は25枚で、総数は確認できていないとした。怪文書は、「文春は民間の雑誌業者で公的機関ではありません」「職員の誰が文春にリークしたか分かれば、警察の事情聴取が待っています」などと脅迫めいた内容だった。 報告書によると、使われている特徴的フレーズが町長が普段から発言するものと似ていることや、特徴的フォント・文字サイズ・行間等の文字サイズについて、町長が議員時代に使っていた文書の見た目とまったく同じだったことから、町長自らが文書を作成し、配布に関与している可能性が高いという情報が複数から寄せられるなどしたという。
町長は3月5日に辞職、「ひきょう」なのはどちらか
「今のところは今年5月末までに辞めたいと考えている」 報告書で「即時の辞職」と結論を出された小島町長は2月28日に再び会見を開き、辞職する意向を明らかにした。その一方で、以下のように反論する場面もあった。 「今回の調査委員会の報告書は、ひと言で言えば中立性を欠いていた。もう少し丁寧な調査があってもよいのではないか」 「私らの時代は、頑張った、よくできた子には頭をなでてもらったという経緯がある。皆さんは若いからわかりませんが、そういうつもりで、頑張っているねとやった」 5月末にも辞めると明言していた小島町長だが、その後には「心が折れた。3月5日に辞職する」と早期に辞職する考えを明かした。 「多少、ボタンのかけ違いがあったかもしれないが、ここぞとばかりに言ってくる。自分の名前を出さない。これはひきょうだ」 そして3月5日に辞職届を提出した小島町長は記者団にこう話し、反論し続けたまま役場を去ることになった。 人事院によると、セクハラは「他の者を不快にさせる職場における性的な言動」や「 職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動」をいう。小島町長は「ひきょうだ」と話していたが、町長という優越的な立場を利用したセクハラ行為こそ「ひきょう」ではないか。また、小島町長は第三者委員会の調査費1240万円(当初の740万円から増額)を、退職金1125万円から一部負担する意向を示しているが、増額分は「関係ない」として支払わない旨を主張。こちらは本人の判断であり難しいところだが、退職金を受け取らないのが望ましいのではないか。 小島町長の辞職に伴う岐南町長選挙は、4月9日告示、14日に投開票される。
小林 英介