災害ごみ総量244万トン、さらに増加も…能登復興に影 隆起で使用できぬ港なお多数
水産庁の担当者は「隆起の程度によっては、停泊場を深さが維持できる位置に変える工事などを検討する」と話し、復旧までに長期間を要する可能性を示唆している。
■降雪、地理的課題を踏まえた復興計画を
■名古屋大減災連携研究センター・平山修久(ながひさ)准教授
能登半島地震による道路や電気、水道といったインフラ被害を考えるとき、重要な視点はさまざまな事象が重なり、好ましくない方向に展開してしまう「連滝(れんたき)災害」だったことだ。
地理的に孤立しやすい半島で、しかもその先端だった▽1分弱の間に3回の大きな揺れが起きた▽過疎化や高齢化が進む地域だった▽土砂災害や津波、液状化、地盤変位など複合災害だった-などが復旧を難しくしている。
災害ごみの東日本大震災との違いは、規模が異なるとはいえ、国ではなく自治体が主体で対応に当たっている点。そもそも集積するスペースや廃棄物処理業者、焼却施設などの確保は容易ではなく、想定通りにいかないことが多い。
ボランティアも含めて石川県外からの支援が必要だが、そのために不可欠なのは道路だ。主要道路はおおむね復旧したものの、支援者が宿泊できる地点からのアクセスが悪いこともこれまでの地震とは違う。金沢市から片道4時間かけて被害地域に通い、作業を行うのは現実的ではない。
水道に関しては、従来の被害は地中の配水管だったが、今回は浄水場や水を蓄える配水池といった「上流部分」まで拡大した。前例のない初のケースだけに復旧に時間がかかっている。
一方で日本海側特有の降雪量が多い地域という課題もある。厳冬期に作業を中断する可能性もあり、これらを踏まえた効率的な復興計画が求められるだろう。