マリー・アントワネットが愛したジュエラー、メレリオ・ディ・メレーの本店へ。
MELLERIO
歴史と物語が詰まった老舗ジュエラーの本店を訪れて! インテリアの意匠、本店でしか見られない美術品レベルのアーカイブ、メゾンを愛し訪れたセレブリティや文化人の残り香など、甘美な世界を堪能できる。 ラペ通りにあるメレリオのブティックの地下には顧客台帳、デッサン帳などが並ぶガラス張りのアーカイブルームがある。そこで護られているメゾンの歴史。その中で最も古いのは、フランス人に限られる国内での商業権をイタリア移民のメレリオ家に王妃マリー・ドゥ・メディシスが許可した1613年の勅許状だ。マリーの息子であるルイ13世暗殺計画の阻止に貢献したメレリオに感謝を表す特権だった。これがメレリオのフランスでの歴史の出発点。最初は金銀細工品、カットクリスタルをあしらったベルトや靴のバックルといった小さなジュエリー......時が流れ、18世紀に入ってから貴石の仕事を始める。その初期のマリー・アントワネット妃の手首を飾ったメレリオのブレスレットは、地下のミニミュージアムに展示されている。19世紀にナポオレオン皇妃ジョゼフィーヌとの出会いがあり、「王妃の宝石商」として大きく華麗な飛躍へと繋がった。
アーカイブ最古の資料は、夫アンリ4世亡き後、息子ルイ13世の摂政を務めていたマリー・ドゥ・メディシスが、外国人ゆえ仏国内では商売ができなかったメレリオに1613年に与えた勅許状。イタリアのルネサンス文化を愛するフランソワ1世統治下の16世紀初頭、大勢のイタリア人職人たちがフランスに移ってきた。メレリオ家もそのひとつだった。
400年以上の歴史の驚くべき長さに加え、世界のジュエリー界においてユニークなのは、メレリオが唯一の家族経営による宝石商であることだ。アーティスティク・ディレクターのロール=イザベル・メレリオは夫が亡くなった5年前から、14代目当主として経営のトップも兼務している。15代目となる息子コームも営業に参加。400年以上続く家族経営のメゾンを未来に継承するという大任を背負う彼女は、歴史の上にあぐらをかくことなく、継承を大切にしつつも宝石商としての活性化を図っている。