映画『フォードvsフェラーリ』の劇中使用車が日本上陸!「ファルコン」の雑な仕上がりの理由は聞けば納得でした
オーストラリア発のチャリティツーリングが日本初開催
オーストラリア発祥のツーリング「ディスティングイッシュド・ジェントルマンズ・ドライブ(以下DGD)」が2023年9月24日(日)、日本で初開催された。このDGDとは、男性の健康のための啓発活動として世界66カ国202都市で同時開催された、前立腺がんの研究などの活動基金へのチャリティーイベント。クラシックカーに乗ってトラディショナルなファッションをまとった紳士淑女たちが、埼玉県北部にある皆野町に集結した。 【画像】オーストラリア製のカッコいいフォード! 劇中仕様車の「ファルコン」を見る(31枚)
『フォードvsフェラーリ』の劇中で使用されたファルコンを輸入
今回、日本で初開催されたDGDへ参加した車両のほとんどが欧州車の中、存在感ありあまるアメリカ車が1台。そのアメリカ車、1962年製フォード「ファルコン」のオーナー諏訪 登さんに話を聞いてみた。 「映画『フォードvsフェラーリ』はご存知ですよね? じつは、あの映画の中でエンツォ・フェラーリが“醜いクルマだ”とつぶやいたとき、生産ラインに並んでいたのはフォード ファルコンでした。このクルマは映画で実際に使われたファルコンなんですよ」 『フォードvsフェラーリ』は日本でも2020年に公開され、かつて命と引き換えにスピードへの情熱を燃やした男たちの実話をもとにしたヒューマンドラマで、われわれクルマ好きを大いに楽しませてくれた作品である。 映画の制作が終わった頃から、劇中で使用したクルマたちをアメリカから輸入販売するというショップのウェブサイトを知る。販売車両の中には、劇中でデッドヒートを演じた「GT40」のレプリカ車もあったというが、そのラインアップに憧れていた年式のファルコンがあることを知り、諏訪さんはショップへ問い合わせたという。 そして半年待ち、輸入通関が終わり、車検が取得できるかどうかを判断する予備検査も合格したファルコンを諏訪さんが手に入れたのは、2020年11月のことであった。
撮影のためだけの必要最小限の仕上げも味のうち?
「手元に来たときは、嬉しかったですけど、実際に見てみると雑な仕上げでしたね~(笑)」 劇中の製造ラインに並んでいたファルコンのボディカラーは、「マスタング」や「コブラ」にもあるバイキングブルーという定番色であるが、都合よく同じカラーのファルコンがなかったのだろう。 「ボディはニューペイントですが、あちこち雑なマスキングの隙間から元色の赤が覗いてますし、何より強烈なのは、内装も新品に張り替えられているんですけど、もともと付いていたルームランプも外さないまま、上から張り替えていてルームランプが突起になって埋もれているんですよ。もう笑っちゃうレベルですけど、目的は映画撮影のためと考えたら怒れませんね」 と、その雑味も、この個体の持つ個性として受け取っているそうだ。