「批判だけでなく、その先へ」被爆地の記憶と向き合った芥川賞作家で被爆2世・青来有一さんの思い 元長崎原爆資料館長が考える核問題【思いをつなぐ戦後78年】
5月のG7広島サミットでは、核兵器の悲惨さを伝え、その使用も威嚇も許されないと訴えながら、「広島ビジョン」で、核抑止力の重要性を説いた。「フェイクコメディ」と同じ矛盾と困難に引き裂かれ、被爆地・広島の核廃絶の素朴なメッセージがなかなか伝わらない。「けしからん」と批判するだけではなく、その先の解決について考えるしかない。 ▽自由な想像力を解放するのも文学の役割 ほとんどの国は核兵器を保有していない。大国の核戦争など地球環境の破壊でしかない。まずは「核には核を」という、抑止力に頼る安全保障の考えのこわばりを解きほぐす糸口を探ることが必要ではないか。そのための大胆で自由な想像力を解き放つのも、文学の役割だと考えている。 × × せいらい・ゆういち 1958年長崎市生まれ。2001年、「聖水」で芥川賞。07年に「爆心」で谷崎潤一郎賞と伊藤整文学賞。