長期金利0.8%超に上昇、昨年11月来の水準-日銀追加利上げ観測
(ブルームバーグ): 日本の長期金利が昨年11月以来、0.8%を超える水準まで上昇した。日本銀行の追加利上げ観測が高まっている上、消費者物価指数(CPI)の上振れを受け米国の長期金利が大幅に上昇したため、債券売りが優勢となっている。
長期金利の指標となる新発10年国債利回りは11日の取引で0.83%と、2023年11月14日以来の高水準を付けた。その後0.835%に上昇している。
日銀が3月に17年ぶりの利上げに踏み切った後も金融緩和環境を継続していることから、長期金利の上昇は鈍かったものの、ここにきて追加利上げを織り込む形で水準を切り上げてきた。世界の投資家は日銀の次の一手を注視しており、長期金利の上昇は投資マネーの国内回帰を促すきっかけになる可能性がある。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「米国では利下げ観測の後ろ倒しの動きで、日銀による追加利上げが夏場から秋にかけて実施されることが意識されている」と述べた。
日銀の植田和男総裁は先週の朝日新聞とのインタビューで、2%の物価目標達成に向けた「確度」がさらに高まれば、追加利上げを検討する考えを表明。植田総裁は10日の国会では、円安進行で輸入物価が大幅に上昇し、基調的物価が2%を超えて上昇するリスクが高まる場合、「金融政策の変更も考えないといけない」との見解を示した。
外国為替市場の円相場は、10日に発表された3月の米CPIを受けて一時1ドル=153円台に下落し、約34年ぶりの安値を更新した。日米の金利差を意識した円売り・ドル買いが止まらず、トレーダーが警戒する為替介入レベルに突入した。日銀は好調な賃上げなどを受け、今月の金融政策決定会合で24年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しの上方修正を議論する公算が大きい。
日銀が24年度物価見通しの上方修正を議論へ、好調な賃上げで-関係者
長期金利が前回0.8%台に上昇したのは、植田総裁が金融政策運営について「一段とチャレンジングな状況になる」と発言した23年12月上旬だ。11月初めには政策修正観測の高まりを背景に0.97%まで上昇。その後、今年1月の能登半島地震などにより早期の政策修正観測が後退し、一時0.5%台に低下していた。