【問われるバイデンと岸田の外交】インド太平洋というレガシー、日本でも正しい評価を
米国から見た岸田首相の評価
これら過去4年の動きの中で、日本は良い役割を果した。日本の役割は米だけでなく他の多くの国から評価されるだろう。 それは岸田外交3年の評価でもある。しかし今後の課題は極めて大きい。向こう数カ月のうちに、日米両国の首脳がほぼ同時に交代する。今までの努力を維持していくことが重要である。 その意味で、岸田文雄首相の退陣は残念だ。当初、岸田政権につき、頼りなさを感じた者も多かったかもしれないが、岸田外交はソリッドで、成功した。それは、バイデン外交の成功に貢献し、民主主義や国際秩序の擁護にも貢献した。 8月15日付フィナンシャル・タイムズ紙レオ・ルイスの意見記事「熱血漢ではないが、キシダ・フミオは驚くべき大胆さを示した:退任する総理は1980年代からのバブル以後最も重大な3年の転換期の日本を操舵した」は、新しい資本主義論などの経済政策、安保外交、安倍晋三元首相との対比等を広く分析、非常に奥の深い岸田文雄論になっている。 そしてルイスは結論として、「岸田を厳しく批評する多くの者は、岸田をフォレスト・ガンプのような単純な、控えめな人間で、自分のスキルや戦略を通じてではなく、偶然にこの歴史的転換期の指導者になった人物に仕立て上げようとしているのかもしれない。それは、岸田の貢献をとんでもなく過小評価するものだ。もし後任が彼のモメンタムを維持できなければ、その代償を払うことになるだろう」と岸田首相を高く評価する。 この記事を読んで、安倍首相退任の時と同様に我が国総理の内外の評価に余りに差があることに気付く。正確な理由は分からないが、我々国民も考えるべきことがあるのかもしれない。
岡崎研究所