『ONE PIECE』なぜ再アニメ化? “25年後”ならではの強みとWIT STUDIOに期待されるもの
“完全版”としての「東の海編」への期待
そうした作品外の事情とは別に、今『ONE PIECE』を再アニメ化することの“作品としての意義”もいくつか挙げられる。 現在放送されているアニメ『ONE PIECE』は、昔ながらのジャンプアニメの作り方なので、原作の内容に追いつかないよう尺を上手くコントロールする必要があった。そのため独特のテンポ感となったり、アニメオリジナルの回を挟んだりと、さまざまな工夫が見受けられる。しかし再アニメ化では原作のストックが潤沢にあるため、尺の都合を考えず、話の内容に応じて“最適なテンポ”で演出できるはずだ。 また、アニメ『ONE PIECE』が始まった当時は、原作の人気が今ほど確立されていなかったため、いろいろな制約があったように見える。たとえば第1話から大胆なオリジナル展開があり、ナミが乗っていた客船がアルビダ海賊団に襲われ、ルフィがアルビダを撃破した後、2人がドラマチックな出会いを果たしていた。 おそらくはヒロインとしてナミを先に登場させ、視聴者に興味を持ってもらう狙いがあったと思われるが、原作人気が不動のものとなった今なら、そうした制約から自由にアニメを制作できるだろう。 さらに『ONE PIECE』といえば、壮大かつ緻密なストーリーが見どころとなっており、物語が進むにつれて、衝撃の事実がいくつも明かされてきた。たとえばルフィにウタという幼なじみが存在し、幼い頃にフーシャ村で共に遊んでいたという情報は、昨年判明したばかりだ。 『THE ONE PIECE』ではこうした“後に判明する事実”を序盤から盛り込んでいくのか、それとも一切匂わせずに、原作をとことん忠実にアニメ化するのか、この点も注目ポイントではないだろうか。 国内外で日本産アニメのブームが巻き起こっている現在。その火付け役の1つだったWIT STUDIOが『ONE PIECE』を手掛けることで、いかなる化学反応が生まれるのだろうか。
キットゥン希美