【熱海土石流】原因や責任はどこに?あの日から3年…月日が経っても癒えることなき心の傷 静岡
“杜撰”だった行政対応
一方、“人災”を指摘した行政サイドにも“非”がないわけではない。 遺族や被災者たちは、県や熱海市に対しても「違法な盛り土の造成を許した」として損害賠償を求める民事訴訟を起こしているが、第1回口頭弁論を前に県が設置した第三者委員会は2022年5月、行政対応について検証した結果、盛り土の申請書などを市が受付・受理する際の審査や指導が不十分だった点や最悪の事態を想定せずに県と市が十分に連携と取らなかった点などを挙げ、「適切な対応が取られていたならば被害の発生防止や軽減が可能だったのではないか」と指摘した上で「本件における行政対応は失敗であったと言える」と断罪。 さらに、県議会の特別委員会はその第三者委員会の最終報告であっても「法令ごとの検証が十分に精査されているとは言えない」と糾弾し、県に対して再検証を求めた。 それでも、県は再検証の結果、「県が所管する法令で発生の抑止は困難だった」と結論付け、熱海市と共に“道義的な責任と法的な責任は別”との立場を崩していない。 警察はこの3年間、土石流災害に関連して県庁や熱海市役所を含む複数の関係先を家宅捜索し、膨大な資料の精査を進めているものの、慎重な裏付けや因果関係の解明が求められることからいまだ誰の立件にも至っていない。 おそらく、仮に誰かが立件されたとしても、遺族や被災者の溜飲が下がるということはありえないだろう。 とはいえ、誰が悪かったのか?誰に責任があったのか?といった点がうやむやのままでは、心が少しでも晴れる日は一向にやってこない。
テレビ静岡