アーセナルはまだティアニーを諦めるべきではない!? ウェストハム戦で見せた「右可変」なら本来の力を発揮できる
「偽SB」には不向きだったが
アーセナルDFキーラン・ティアニーは、現在ラ・リーガのレアル・ソシエダにローン中だ。2度にわたる負傷があったためレギュラー格とは言いづらいが、今季はリーグ戦10試合に先発。一定の存在感を見せていると言っていいだろう。 今季が終われば一旦アーセナルに戻ることになるが、アーセナルではミケル・アルテタ監督に課されたいわゆる「偽サイドバック」の動きにうまく適応できなかった。英『Guardian』のインタビューで、ティアニーは次のように振り返っている。 「アーセナルの大きな点のひとつは、左サイドバックがもっとも中心的な選手であることだ。ジンチェンコは彼らの最大のクリエイターの一人で、むしろ6番のような存在なんだ。それを最初に聞いたとき、僕にとっては異質なものだった。子供のころから、センターMFとしてプレイしたことはなかった。僕はいつも、いわゆる普通のサイドバックのポジションで、それがこれまでずっと知っていたポジションだ。(中略)僕にとっては今でもウイングを上がったり下がったりするほうが自然かもしれないよ」 激しい上下動を繰り返し、サイドで機動力を発揮するタイプのティアニーにとって、やはり中央でMF化する役割というのはやりづらかったようだ。しかし、偽SBに適さないという点では、現在左SBで起用されるヤクブ・キヴィオルも同じはずだ。 その点で、6-0と大勝した先日のウェストハム戦では興味深い試合展開があった。試合開始直後はキヴィオルが中央に入ってパスをさばこうとするシーンも見られたのだがうまくいかず、アルテタは逆サイドのベン・ホワイトが中に入るように修正。キヴィオルは左サイドで守備と攻撃サポートに専念できるようになり、ボールがスムーズに回るようになったのだ。 右SBの選手に可変の役割を任せ、左はオーソドックスなSBの役割に徹するのであれば、ティアニーはキヴィオル以上に高いパフォーマンスを発揮できるはずだ。ウェストハム戦では左ウイングのガブリエウ・マルティネッリが中に入ってプレイするシーンもたびたび見られたが、そうして左のスペースを空ければティアニーの機動力とクロス精度も活きてくる。 最近のアーセナルは偽SBの形にこだわらずに戦うシーンも増えており、相手や試合展開によってはティアニーが活きるシーンもあるはず。能力自体は高いものを持っているだけに、うまく活かせるやり方をアルテタは探るべきなのかもしれない。
構成/ザ・ワールド編集部