<リベリア ~ パーム油と百姓一揆> 土地をめぐるいさかい
グランバサ州にある、パーム椰子の大規模農場に隣接する村を訪れた。村人の多くは、自らの土地でキャッサバ芋をはじめとした野菜の栽培で生計を立てており、農場で雇われている人は多くはない。 「農場労働者の多くは他の土地からの出稼ぎで、宿舎に住んでるのさ」 村を案内してくれた若者が言った。
パーム椰子農場を経営するのは、英国資本のエクアトリアル・パームオイル社(EPO)。最近になって、農場拡大を計画するEPOと村人たちの間でいさかいが生じるようになった。農場拡大のためには土地が必要だが、村人たちは生活の糧となる農地を手放したくない。さらに、代々受け継がれてきたというだけで、登記のない土地の所有権がはっきりしないので、問題はいっそう複雑だ。 「農地を売っても、金なんかすぐになくなってしまう。土地を手放したら生活の糧がなくなるよ。拡大した農場で雇われたとしても、その仕事がずっと保証されるわけでもないしね」(2015年5月) (フォトジャーナリスト・高橋邦典)