150キロ超えの直球も「速いなんて思ったことなくて…」ベテラン記者が振り返る“巨人→オリオールズ移籍”菅野智之(35歳)の「最強大学生」時代
高校で150キロ超も…「速いなんて思ったことない」
高校球界を代表する……みたいな定評があった東海大相模当時、本人には、そうした実感はまるでなかったという。 「周りは速い、速いっていうんですけど、自分では速いなんて一度も思ったことなくて。納得いかないっていうか、もっともっといけるんじゃないか、と。もともと自分、ストレートで押したい気持ちが強くて、150キロ台が投げられるようになった今は、もっと強くなっています」 投げてくれたストレート、そりゃあとんでもなく速かったが、ミットを飛ばされそうになったのは、右打者の内角に切れ込んできたヤツ。あれは、立派な「シュート」だった。 「あれは、軸足の使い方が違うんです」 「そこまで話しちゃっていいの?」と心配したら、「軸足の使い方の違いで打たれること、ないですから」と笑った顔がよかった。 泰然自若。まさに、それだ。 「軸足(右足)を若干強く蹴ると、シュート回転するんです、自分の場合。右打者は甘いコースから食い込まれるボール、今、そういうボール投げるピッチャーあんまりいないから、嫌ですよね」 逆に、左打者にはカットボールで内角を突く。どちらも、バットの長さが邪魔になる厄介なボールだ。 「自分の場合、反復を重ねて身につけるというよりは、実戦でいろいろ試してみて、試行錯誤の中から『あ、これで掴んだかな』と気づいていくタイプなんで。練習で出来ても実戦で出来ないことって多いじゃないですか。でも、試合の中で出来たことって、次の試合でも出来ると思うんで」 手元でメモする原稿用紙が、文字でどんどん埋まっていく。 失礼な言い方かもしれないが、菅野投手ほど「起承転結」に沿ったメモしやすい話をしてくれる選手に、その後、出会えていない。 「いろんなことを考えながら、打者に向かって投げているのと、ただ漠然とキャッチャーのサインにうなずいて、キャッチャーに向かって投げるのじゃ、ぜんぜん違います。たとえば、相手ベンチを観察していれば、監督さんが打者に『左脇を絞めて打て』って指示が見えたりする。 投手側の脇を絞めて打とうとすれば、右手が強くなって左手の自由が効きにくくなりますから、落ちる系はまず打てない。ならば、低めに落としておけば大丈夫とか。自分が主役になって相手チームを手玉に取る面白さっていうんですか。たまらないですよね」 球質へのこだわりも人一倍で、理想は、打者が振り始めてから動くボール。 「ストレートなら、(ホーム)ベースの上で加速を感じるやつで、変化球ならベースの上で曲がり始めるような。特にスライダーは」
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