パリパラリンピック 若きエース奮闘 車いすラグビー橋本勝也(福島県三春町) 巧みな技で得点量産 成長示す
29日(日本時間30日未明)に行われたパリ・パラリンピック車いすラグビー1次リーグ、日本―ドイツ戦では「次世代エース」橋本勝也(22)=日興アセットマネジメント、福島県三春町=がチームで2番目に多い17得点を挙げ、日本の白星発進に貢献した。30日の格上米国との第2戦でも18得点し、連勝を引き寄せた。19歳で臨んだ前回東京大会は銅メダルを得たが、出場機会が限られた。悔しさを糧に力を付け、主力として悲願の金メダルを狙う。 世界ランキング3位の日本は9位ドイツ、2位米国に連勝と好発進した。2戦連続2桁得点を挙げた橋本は「チームとして日本らしいラグビーができた。磨いてきた守備の強さで世界一の称号を手に入れたい」と頂点を見据えた。 橋本はドイツ戦で第1ピリオド途中から出場。スピードや巧みなチェアワークで相手守備を破り、トライを量産した。最多の18点をマークした池崎大輔(三菱商事)の半分程度の出場時間ながら、得点力の高さを見せつけた。
続く30日夜の米国戦は第3ピリオドまでお互い譲らぬ激戦に。橋本は体格に勝る相手のタックルに負けない強さを発揮。チーム最多の18得点で攻撃陣をリードした。最終第4ピリオドは相手のミスを機に点差を広げ、45―42で振り切った。 2021年の東京パラは全5試合で出場時間10分程度。銅メダルに貢献した実感に乏しく、3位決定戦に勝っても悔し涙に暮れた。古里の三春町を拠点に地道なトレーニングに没頭。体は見違えるほどたくましくなった。「パリで金メダルを取り、うれし涙を流す」と誓っていた通り、1次リーグから中心選手としての圧倒的な存在感を示した。 ◇ ◇ 三春町ではドイツ戦のパブリックビューイングが行われ、未明にもかかわらず約30人が声援を送った。 横断幕の下、参加者は手作りの旗を振った。橋本のトライのたび歓声が沸き、終盤は「勝也」コールが起きた。後援会発起人の安斎和夫さんは「東京のころより強く、大きくなった。金メダルに向けて好スタートになった」と期待した。中学の同級生という町職員の遠藤麗美さんは「世界での活躍は誇らしい。メダルに向けて頑張って」とエールを送った。