尾上菊之丞は幸四郎から夜中の3時にLINE「いろんなご提案やお考えをいただきました」

取材会に出席した中村隼人、松本幸四郎、尾上菊之丞（左から）【写真：ENCOUNT編集部】

　歌舞伎俳優の松本幸四郎、中村隼人、舞踊家の尾上菊之丞が16日、都内で行われた「令和七年一月歌舞伎座　松竹創業百三十周年『壽　初春大歌舞伎』」夜の部『大富豪同心（だいふごうどうしん）』の取材会に出席。激務なスケジュールについて語った。 【写真】「圧倒的なオーラ」「歌舞伎界1のイケメン！」の声…松本幸四郎＆市川染五郎の親子ショット 『大富豪同心』は、幡大介氏の同名長編時代小説を原作とした新作歌舞伎。江戸随一の豪商・三国屋徳右衛門の孫で放蕩三昧の卯之吉と将軍家政の弟・幸千代との出会いから、将軍の世継ぎ争いを描く。同作は2019年にNHK BS時代劇シリーズとしてドラマ化され、隼人が卯之吉と幸千代の二役を演じた。新作となる歌舞伎版でも隼人が主役の卯之吉と幸千代の二役を勤め、ドラマにも出演している幸四郎が共演。さらに幸四郎が歌舞伎座で初めて演出を手がけ、菊之丞が演出と振付を担当する。 　現在隼人は、京都・南座の「松竹創業百三十周年　京の年中行事　當る巳歳『吉例顔見世興行　東西合同大歌舞伎』」に出演中。休演日のこの日、会見のため朝から東京入りし、翌日には再び京都で公演に挑む。また幸四郎も現在、新橋演舞場で『歌舞伎NEXT　朧の森に棲む鬼』で主演を勤めている。隼人は22日、幸四郎は26日の千秋楽まで公演が続き、菊之丞も12月下旬まで公演が入っている。 『壽　初春大歌舞伎』の初日は、25年1月2日から。さらに『大富豪同心』が新作ということから、タイトなスケジュールについて聞かれると、菊之丞は「確かに。今も演舞場、南座。今日も（隼人は）休演日に移動してきて、こんな感じでやっているわけですけども」と説明。「最近はコロナ以降、オンラインやZoomミーティングもできるようになったもんですから、そういうものも駆使されて。幸四郎さんからも今日、夜中の3時くらいにLINEでいろんなご提案やお考えをいただきました」と明かした。「普通に考えますと、大みそかと正月は稼働しにくいので、それでどうやって（1月）2日に初日が開くのか。わたくしも伺いたいくらい（笑）」と松竹のスタッフを見つめ、報道陣の笑いを誘った。 　また幸四郎も、「どうしてそういうスケジュールになるのか、松竹さんに伺ってください」と会場を笑わせ、「こちらは1つひとつがんばって、その時間の中でどれだけのことができるか」と語った。さらに「今は演舞場に出ていますけど、“そう（演舞場公演の本番）じゃないこと”を考える中に、（1月の）台本や演出のことがあったり、もっと先々のことがある。自分の中では“気分転換”というわけじゃないけど、切り替えられて、他のことに集中することで、また新たに舞台を迎えられる」と、忙しい中でも考えることが切り替えになるという。しかし、「そういう気持に“ならざるを得ない”（笑）。なんとか松竹さんに（スケジュールに関して）お話していただければ」と再び笑いを誘った。 　主演の隼人は、「僕の役者人生にすごく影響を与えた作品ではあるので、とにかく妥協なく、全身全霊でいい物を作りたい。そういう思いがあれば、時間なんて関係ないと思います」と意気込んだ。「あとは、本当に皆さんにお忙しいキャストの方に集まっていただいたので、自分は疲れた顔を見せずに、共演者やスタッフをはんなりと癒していきたいと思います」と語った。