カラフルでポップなTOKYOを発信 群馬産「だるま」を世界へ
Z世代の起業家・髙橋史好は2023年9月にconconを設立し、11月には、“小さくてかわいいものが詰まったTOKYO”という海外視点から日本のポップカルチャーを解釈したインバウンド向けブランド「TOKYO LOLLIPOP」をリリース。キャンディのようなカラフルなリングは、インドのガラス工場と自ら契約して廃材を再利用した。インバウンドにこだわるのは「最も多感な時期に日本人がいない土地で過ごしたことでアイデンティティが芽生え、世界に熱狂を起こして日本のプレゼンスをあげたいから」。 世界を動かすカルチャープレナーたち 原点には、16歳で単身インドへわたった経験がある。群馬県高崎市に生まれ両親ともに教員という厳しい家庭で育った髙橋は、息苦しさを感じて「インドに行けば人生が変わるかも」と信じ、地元を離れた。留学先のホストファザーは不動産のディベロッパーだった。髙橋も商談や取引先に連れられて新しい世界を目の当たりにし、起業家を目指すことを決意した。帰国後は、日本人インフルエンサーとして自身の経験からインド向けのYouTubeチャンネルを立ち上げ、開設から2週間で収益化に成功。17万人の登録者のうち98%をインド人が占めるまでに成長させ、2年後に「手触り感のある商い」の道へ進むべく事業会社に売却した。 今年3月には、思わぬかたちで地元の群馬とかかわる事業を始めた。ポップアップでリングの販売をする際に、張り子だるまの産地・高崎市豊岡町の生産工場と手がけたカラフルでポップなだるまを置くと好評だったため、「TOKYO LOLLIPOPだるま」を発表した。半年で120個以上売れ、企業向けに特注の「カイシャダルマ」は特にイベントで使用したいスタートアップから人気になり、SNSでも大きな話題となった。伝統工芸と現代のポップカルチャーを融合させた新しい提案は国内外から人気を博し、7月に京都で行われた「IVS2024」の会場と周辺地域をジャックするなど広がりを見せる。 自身の「好き」をかたちにしてきた髙橋の存在は、現代美術家・村上隆の目に留まるなど注目される。事業を通して一貫するのは「ナラティブでずっしりとした重みのある商材を扱いたい。日の目を浴びていない物が、どうすれば新しい価値をつけ、世界でスターに生まれ変われるのか」という思いだ。「今後はだるまを軸にブランドやアーティストやとのコラボ展開して、パリコレにだるまが登場する未来を作りたい」と大きな夢を描く。
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