意外と多い「新NISA成長投資枠で株式投資」の意向、「安定した利回り」を求める投資意向とはギャップ
また、新NISAで投資したい金融商品について聞くと、成長投資枠の複数回答では「国内上場株式」が54.9%で最も高く、ついで、「インデックス運用を行う投資信託」が41.0%、「海外上場株式」が30.3%となった。そこで、「最も購入したい商品」を聞くと、「国内株式」が33.2%、「インデックス運用を行う投資信託」が23.6%、「海外上場株式」が11.7%となり、個別株式を第一の選択肢と考えている人が約45%を占める結果になった。株式を投資対象に考えている人の比率が高い印象だが、新NISAで選択したい金融商品の性格について聞いた回答では、成長投資枠の利用意向者は「安定した利回りを目標とするもの」が38.7%でトップであり、次に、「元本の安全性が高いもの」が21.8%で、株式への投資期待として妥当と考えられる「値上がり期待が持てるもの」という回答は19.9%にすぎなかった。
「安定した利回りを目標とするもの」といったインカム収益に重きを置く投資対象としては、債券ファンドのような債券、あるいは、株式でも高配当株式など一定の条件を満たす株式を選ぶことが妥当と考えられる。回答者の意図が、「上場株式」としつつ、そこに「高配当」を含んで考えているのであれば問題はないのだが、「元本の安全性が高いもの」という考えで、「上場株式」を選ぶのは、選択に少し無理があるといえる。同じ株式に投資する場合でも「投資信託」、「ETF(上場投資信託)」であれば、数十、数百といった銘柄に分散投資して価格変動を抑える工夫がある。そのような「投資信託」という選択肢を飛ばして「上場株式」を選好する姿勢には、一種の危うさが感じられる。「投資信託」についても、「インデックス運用を行う投資信託」が突出していることも投資意向との間でギャップがある。
「安定した利回りを目標とするもの」、「元本の安全性が高いもの」に高い優先順位があるのであれば、「債券で運用する投資信託」、あるいは、「株式や債券など幅広い資産にバランスよく投資する投資信託」などが選択肢として浮上しても良い。このあたりは、新NISAで金融商品購入検討のきっかけとして「金融や投資を勉強して理解できたら」(15.5%)が最も高い回答率になっており、金融商品や投資についての理解について依然として不安を感じている人が多いことがうかがえる。新NISAがスタートして2カ月余りが経過し、投資信託の市場では「インデックス運用を行う投資信託」に前年末までを上回る勢いで資金流入が続いている。新NISAスタートの影響が証券市場に及んでいることは明らかだが、この流れをより広く太いものにするため、金融経済教育の浸透が求められているといえるだろう。(イメージ写真提供:123RF)
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