戦闘機「飛燕」の軌跡 映画に 南太平洋の島で発見→復元→岡山県で展示 2026年公開へ
南太平洋の島で見つかった旧日本陸軍の戦闘機「飛燕(ひえん)」の機体が、岡山県浅口市金光町で展示されるまでの軌跡を、設計士や実機の操縦士の実話を基に描く映画が製作される。「日本のモノづくり技術の素晴らしさや、平和への思いを訴えたい」とし、戦後80年の節目となる来年秋に県内で撮影し、2026年の公開を目指す。 【写真8枚】壊れた飛燕の実物機の一部や復元模型の操縦席など 飛燕は1970年代に不時着した状態で発見され、倉敷市のバイク部品製造販売会社の武浩社長(60)がオークションで落札。浅口市で運営するドレミコレクションミュージアムに、専門業者の協力で復元した模型と展示している。 映画化はミュージアムを5月に訪れた映画監督末次成人さん(47)=香川県さぬき市=が、武社長の話を聞く中で思い立った。末次さんの作品を手がけてきた会社を中心に製作委員会を今後立ち上げる。製作費は約3億円で、うち1億5千万円は浅口市が窓口の企業版ふるさと納税で寄付を募る。 末次さんが監督・脚本を担当し、飛燕を設計した土井武夫さん(04~96年)、操縦士で美咲町出身の垂井光義さん(15~44年)、武社長を中心にした群像劇を想定する。航空技術の将来を担う重責や戦場で抱く家族への思い、復元への情熱を遺族や関係者に取材し、「モノづくりの情熱や平和への思いを問いかけたい」と思い描く。 10月2日にミュージアムで発表会があり、約50人が出席。武社長は「戦争の悲惨さや平和への祈念を訴える作品を期待したい」と述べ、栗山康彦市長は「戦争を知らない世代が増えた。あらためて平和や命の大切さを考える作品になれば」と期待した。
中国新聞社