俵屋宗達の国宝《源氏物語関屋澪標図屏風》ほか平安文学を題材とした名品が集結『平安文学、いとをかし』静嘉堂@丸の内で
NHKの大河ドラマ「光る君へ」の人気もあって、平安文学への関心がいっそう高まる昨今。絵画や書の名品の数々と古典籍によって、その平安文学の世界を堪能させてくれる雅やかな展覧会が、11月16日(土)から2025年1月13日(月・祝) まで、東京の静嘉堂文庫美術館・静嘉堂@丸の内で開催される。 【全ての画像】国宝 俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》ほか広報用画像(全11枚) 王朝文化が花開いた平安時代には、漢詩や和歌、物語や日記など、様々なジャンルの文学作品が誕生し、日本美術の作品にも重要なテーマをもたらすなど、多大な影響を及ぼした。同展の見どころのひとつは、平安文学を題材とした同館の美術品や古典籍のなかから、国宝3件と重要文化財5件を含む名品が展示されることだ。なかでも、琳派の巨匠・俵屋宗達による国宝《源氏物語関屋澪標(みおつくし)図屏風》は、大胆な画面構成や巧みな色遣いが魅力的な宗達晩年の傑作のひとつ。また、国宝《倭漢朗詠抄(わかんろうえいしょう) 太田切》は、優雅な漢字と自由奔放な仮名を組み合わせた書を美麗な料紙に調和させた優品で、平安貴族の美意識を今に伝えてくれる。さらに、修理後の初公開となる重要文化財の《住吉物語絵巻》と《駒競(こまくらべ)行幸絵巻》をはじめ、絵巻や古筆の名品が勢揃いとなる。 同展のもうひとつの見どころは、『源氏物語』を題材とした作品を集めた特集展示。やまと絵の名手・土佐光起による《紫式部図》は、近年新発見され、今回が初公開となる注目作だ。 また現代の截金(きりかね)ガラス作家・山本茜による『源氏物語』シリーズの紹介も楽しみなところだ。「截金」とは、極薄の金銀箔を数枚重ね合わせて文様を描く手法で、仏像や仏画の装飾に用いられてきた伝統技法。山本は、その截金を透明なガラスの中に封じ込める独自の技法「截金ガラス」を生み出し、自らのライフワークとして、『源氏物語』54帖を截金ガラスの作品にすることに取り組み続けている。今回、「空蟬(うつせみ)」と「橋姫(はしひめ)」の2点が特別展示される山本のこのシリーズは、平安文学が現代もなお芸術家のイメージの源泉であり続けていることを明らかにしてくれるだろう。 展覧会タイトルの「をかし」は、趣がある、興味深い、優れている、といった意味。会場で、「いとをかし」な平安文学の世界をじっくりと味わいたい。 <開催概要> 『平安文学、いとをかし ―国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ』 会期:2024年11月16日(土)~2025年1月13日(月・祝) ※会期中一部展示替えあり 会場:静嘉堂@丸の内