【辻発彦コラム】私が考えるエースの条件は1年間、離脱することなく先発ローテーションを守り抜く投手です
1年目から4年連続最多勝を獲得するなど球界を席巻した野茂[写真=BBM]
【辻発彦のはっちゃんネル】 今回は特集に合わせて私が現役時代、実際に対戦したエースたちについて語りたいと思います。私は1984年から99年まで西武とヤクルトで16年間プレーをしましたが、その中で最も印象に残っているエースは野茂英雄です。90年にドラフト1位で近鉄に入団した野茂は1年目から18勝をマークし、4年連続最多勝に輝いた剛腕でした。 彼のフォームであったトルネード投法は、打者に対して背中が見えるほど大きく体をひねり、力強く腕を振ってくる。このフォームには迫力があり、ボールの出どころが非常に見えづらく、そこから力強いストレートと落差の大きいフォークを投げ込んできました。私はとにかくコンパクトにスイングして彼の足元に打ち返そうというイメージでいつも打席に立っていました。 ところが彼のボールは荒れ球が多く、ある日の試合ではプレーボールの直後に四球、四球、四球で無死満塁としながら、3者連続奪三振という立ち上がりのときもありました。本当に三振か、四球かというピッチングなので、自然と球数がかさみますが、それでも勝つのがすごいと思います。例えば、西武戦で9回を投げて16与四球のプロ野球ワースト記録をつくりながら、191球、3失点完投勝利という登板もありました(94年7月1日)。 当時のエースは本当にタフだと思いました。私が対戦した中には・・・
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週刊ベースボール