シカゴ大学が「毒」を開発。AIによる盗用からイラストを守る2つのアプリ
画像生成AIを開発したMidjourney社の設立者たちが、アーティストの作品を積極的に盗用し、AIに学習させていたことが、最近になって明らかになりました。 シカゴ大学が「毒」を開発。AIによる盗用からイラストを守る2つのアプリ この事実は、生成AIによるアートが倫理的な問題をはらんでいることを、新たに裏付けたにすぎません。 こうしたAIツールに対する訴訟や規制の動きは山ほどありますが、法規が整うまで、アーティストは自力で何とかしなければならない状況に置かれています。 正式な許可なく、誰の作品かも明らかにされず、報酬も支払われないまま、自分の作品がAIモデルの訓練に利用されていても、それを防ぐ法律ができるまで待つしかないのです。
AIによる盗用を避けるために開発されたアプリが登場
AIによる盗用を避けたければ、当面は、作品をオンラインに載せないという対策しかなさそうです。しかし、クライアントを見つけるために、SNSやオンラインのポートフォリオを使っているアーティストにとっては、これはあまり良い対策とは言えません。 そんな中、シカゴ大学の研究者たちが、WindowsとMac向けに、2つの無料デスクトップアプリをリリースしました。 AIモデルが画像を読んだり、画像を利用してコンテンツを生成したりすることを不可能にするだけではなく、そうしようと試みるAIモデルに対して積極的に害を与えるアプリです。 画像に粒子を入れる 1つ目のアプリ「Glaze」は、画像にデジタルの「ノイズ」をかけて、「Midjourney」などの画像生成AIに読み込まれないようにするものです。 ノイズはごくわずかであり、ほんの少し粒子が荒く、ざらついて見える程度です。 InstagramやX(旧Twitter)に画像をアップロードしたときのような感じです。見た目の変化をできるだけ抑えるため、アプリにはすでに大幅な改善が行なわれています。開発チームがさらに手を加えることにより、これからも画像の鮮明度は良くなると考えて差し支えないでしょう。 画像に毒を含ませる 2つ目のアプリ「Nightshade」は、画像に「毒」を含んだデータをしのばせて、その画像を使おうとするAIモデルを混乱させるものです。 生成AI擁護派の中には、このやり方が「違法」だと主張する人もいます。マルウェアを拡散するのと同類だというのです。 けれども実際は、ほかのメディアが海賊行為を阻止するために使っている著作権保護対策に近く、出版社がよく電子書籍に使う「デジタル著作権管理(DRM)」のようなものです。