韓国側不参加…新潟「佐渡島の金山」追悼式・日韓問題、世界遺産登録後も影 「翻弄続く」地元ため息
11月24日に新潟県佐渡市で初めて開かれた、世界文化遺産「佐渡島(さど)の金山」に関わる全ての労働者のための追悼式は、韓国側が参加しない形で終わった。日韓の歴史認識を巡る問題は、登録までの過程でも常に佐渡金山に付いて回った。地元からは「登録後も翻弄(ほんろう)され続けるのか」とため息が漏れる。 【画像】追悼式の様子 追悼式の会場「あいかわ開発総合センター」(佐渡市相川栄町)には約100席が用意された。しかし、韓国側の不参加で約20席は空席のまま。会場には、韓国メディア12社を含む報道陣約50人が詰めかけた。 約30分で終わった式典の後、実行委員長を務めた中野洸・佐渡を世界遺産にする会会長は「(韓国側に)出席いただきたかった。残念という思いだけだ」と答え、無念さをにじませた。 佐渡金山を巡っては、登録までも文化的価値と政治のはざまで翻弄され続けてきた経緯がある。ただ、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の就任で、 日韓関係が改善。7月の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会で、日本政府は「全体の歴史を包括的に扱う説明・展示戦略および施設を強化すべく引き続き努力する」との立場を示し、追悼式の開催も表明。韓国側も登録に合意した。 地元にとって、追悼式は登録後、最大の懸案事項であり、世界遺産委で約束した「全体の歴史」への対応の集大成になるはずだった。2025年に日韓国交正常化60年を控える中、日韓関係改善の象徴的な場面になる可能性もあった。 しかし、出席予定だった韓国政府と韓国人遺族は直前になって出席を取りやめた。韓国メディアによると、日本政府代表の生稲晃子外務政務官が過去に靖国神社に参拝した可能性が問題視されたとみられる。 韓国の不参加について、神戸大大学院の木村幹教授(朝鮮半島地域史)は、尹政権の弱体化が背景にあるとみる。木村教授は「支持率が下がり続け、対日政策で譲歩する姿勢が見せられなかったのだろう。佐渡にとっては、もらい事故だ」と指摘。「今後、日韓関係が悪化した場合、ここが転換点だったと位置付けられるような局面と言える」と語る。